第107話 もしかしてエラーか?

『おめでとうございます! レベルアップしました! 新たな機能が追加されました』


 ダンジョンのレベルが9になった。

 新機能は「フィールド変更Ⅱ」で、新しくフィールドF、G、Hを作ることができるようになっていた。


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 フィールドF(500)

 フィールドG(1000)

 フィールドH(1500)

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「かなり要求ポイントが大きいな。まぁ最近ポイントは余りがちだし、全部一気に作ってみるか」


 このフィールド変更には、いつも広いスペースが要求される。

 俺は生活拠点を広げ、新たに専用の部屋を作った。


 フィールドFを作成すると、もくもくと湯気が立つ水溜りが出現する。


「これってまさか……温泉か?」


 手を突っ込んでみると、ちょうどいい暖かさのお湯だった。

 改めてステータスで確認してみると、「フィールドF」が「温泉フィールド」になっている。


 どうやらダンジョンで温泉に入ることができるようだ。


 このダンジョン温泉は、すぐに大人気となった。


「すごくいいお湯ね! 入るとお肌がすべすべになるわ!」

「元から美しいあたくしが、もっと美しくなってしまいますの」


 何の仕事もしないアズとエミリアは一日に何度も入っているし(働け)、子供たちも普通のお風呂は使わなくなり、毎日この泳げるほど広い温泉に入るようになった。


 人間だけではない。

 従魔たちも温泉が気に入ったようで、よくぷかぷかと浮いている。


 女性陣が温泉を占領しているため、俺はもう一つ新たに温泉を作った。

 こちらは男性用だ。


「ノエルとレインもこっちの温泉を使ってくれ」

「わ、分かりました」

「了解だ」


 女性人数が多いので、俺たち男は肩身が狭い。


「(まぁ、ノエルは完全に見た目が女の子だし、レインも中性的な感じだけどな……)」


 女性ばかりを集めていると、美里に勘違いされるかもしれない。


「ええと、次はフィールドGだな。……ん? どういうことだ? 何も起こらない?」


 1000ポイントも使用してフィールドGを作成したにもかかわらず、なぜかそれらしい変化が見られなかった。

 ポイントを確認してみても、ちゃんと消費された状態になっている。


「何だ? もしかしてエラーか? 仮にそうだとしても問い合わせ先なんてないし……」


 困惑していると、ふとそれに気づいた。


「ちょっと待った。足元で何か光ってるぞ……?」


 周囲の土とは色が違う。

 淡い緑色で、まるで鉱石のように輝いているのだ。


 ステータスを確認すると、「フィールドG」は「鉱山フィールド」になっていた。


 どうやらこのフィールドからは鉱石が採れるらしかった。

 畑で勝手に野菜が育つように、放っておくと勝手に鉱石が作られるようだ。


 鉱石部分を壊してしまわないよう、周辺を繊細な穴掘りで削って採掘する。

 その気になれば、掘る量を極限まで少なくコントロールすることができるのだ。


 ――スキル〈繊細掘り〉を獲得しました。

 ――スキル〈微量掘り〉を獲得しました。







 様々な種類の鉱石が手に入ったが、俺にはまったく使い道がない。

 というわけで、金ちゃんのところに持っていくことにした。


「おお、丸夫殿! 今日は何の用でござるか?」

「実はダンジョンでこんなものが採れるようになったんだが」


 そう言ってテーブルの上に色とりどりの鉱石を置いていく。


「ダンジョンで鉱石が!? つ、ついにそこまで来たでござるか……って、しかもこれ、ミスリルではござらぬか!?」

「もしかしてこの銀色に輝いてるやつか?」


 ミスリルといえば、ファンタジー世界で有名な希少金属の一つだ。


 これで作られた装備は非常に強力で、この世界の戦士たちにとっては、ミスリル装備を身につけるのが一つのステータスらしい。

 確か天野たちも、王宮から支給されたミスリル装備を使ってたっけ。


「この輝き……純度も申し分ないでござるよ」

「俺には使い道がないし、金ちゃんの方で上手く利用してくれ。たぶん放っておけば、また幾らでも作られると思う」

「もはや何でもありでござるな……」


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