第12話 自然に生えてきます
貯まったポイントを使い、俺はステータス上の未確認項目を減らしていった。
魔物Dはスモークトレントという、高さ一・五メートルほどの樹木の魔物だ。
タンポポの綿毛のようなもので覆われていて、これも大変モフモフである。
「わさわさわさ」
鳴いたりはしないが、よく枝を揺すってそんな音を出している。
魔物Eはチンチライオンという、モフモフで丸々とした可愛らしいライオンだった。
大きさはちょっと大きめの猫といったところ。
「にゃ~」
鳴き声は完全に猫である。
さらにトラップCは「トランポリン」で、トラップDは「砂場」だった。
どちらも遊び場として最高で、モフモフたちもよく飛んだり砂を掘ったりしている。
「どれもこれもトラップじゃなぁぁぁぁぁぁぁい!」
嘆いているのはアズだけだ。
『おめでとうございます! レベルアップしました! 新たな機能が追加されました』
そうこうしているうちに、またレベルが上がったようだ。
これでレベル4である。
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ステータス
マップ
迷宮構築
魔物生成
トラップ設置
フィールド変更
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「フィールド変更?」
追加された新しい機能に、俺は首を傾げた。
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フィールドA(100)
フィールドB(150)
フィールドC(200)
フィールドD(250)
フィールドE(300)
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「かなり要求ポイントが大きいな」
最低でも100ポイントというのは少し大きいが、幸いまだそれくらいは余っている。
結構なスペースが必要だというシステムのアドバイスに従い、広い部屋で試しに使ってみることにした。
するとダンジョン内の地面が畑になってしまった。
だいたい二十五メートルプールほどの広さだろうか。
『一定区画を畑フィールドに変えることが可能です』
畑フィールドってなんだ……?
「こんなところに畑なんてあっても意味ないでしょ!?」
「いや、食料を自前で調達できるのはありがたいだろ」
アズはともかく、俺は相変わらず食事を取る必要があるのだ。
「けど、作物の種とかはどうやって入手するんだ?」
『自然に生えてきます。ただし、種類を指定することはできません』
勝手に作物が生えてくるらしい。
さすがファンタジー世界だな。
ここで収穫ができるようになれば、わざわざ街まで食料を調達しに行かなくてもよくなるかもしれない。
「何であんたのダンジョンは、こんな訳の分からない機能ばかりなのよ……」
「そんなこと言われても、俺が指定しているわけじゃないしなぁ」
だがダンジョンというのは、ダンジョンマスターの性質を反映するという。
そう考えると、頷ける部分もあった。
「俺は平和でのんびりしている方が好きだからな。競争とかも嫌いなんだ」
「あんたには野心ってものがないの!?」
大声で叫んでから、アズは大きく溜息をついた。
「はぁ……魔物だって弱そうなやつばかりなのに、よく暢気にそんなこと言ってられるわね? この状態で人間たちに見つかったら、よくて占拠、最悪、ダンジョンコアを破壊されてしまうかもしれないのよ?」
「どういうことだ?」
アズが言うには、どうやらダンジョンというものは、人間たちに危険な存在と見なされているらしい。
まぁ魔物を作り出しているのだから、当然と言えば当然だろう。
「ダンジョンの目的は、別に人間を滅ぼすためじゃないのに。むしろ試練を与えたり、貴重な資源を入手させたり、人間たちに貢献しているくらいなのよ」
不満げに鼻息を荒くするアズ。
「特に勇者には気を付けないといけないわ。奴らは並の人間たちとは比較にもならないくらい強いって話だし……」
一応、俺も勇者なんだけどな。
と、そんなアズとのやり取りが、フラグになってしまったのか、
『警告。ダンジョン内に侵入生物です。人間と思われる四人組です』
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