貧乏男爵令嬢の領地経営~そうだ!異世界召喚者に協力して貰おう~

信仙夜祭

異世界の勇者を召還するスキル

「ああ……。女神様。今日も領地の住民が、安寧でありますように……」


 私は、女神像に祈りを捧げた。

 私の名前は、リナ・スピネル。男爵令嬢だ。

 そして、修道女シスターでもある。ちょっと、勉強のために王都に学びに行ったんだ。


 ――バタン


 誰かが、教会に入って来た。乱暴にドアを開けて……。壊れたら、修理してよ?


「リナ様。今年も麦が全滅です……。これで、3年目になりました。もう……、我々も限界です」


 領民が、状況報告をしてくれた。


「大~丈~夫~よ~。あーしがいんだし、ドンと構えてて!」


 あーしは、胸をドンと叩いた。


 ――シーン


 村人が、静まり返った。あーしの言葉に安心したのかな?

 あーしの言葉には、不思議な説得力があんのよね~。


「で……、ですが。もう食べる物がなく、この冬は、過ごせそうにありません」


 う~ん。貴族は、飢饉の時に領民に麦を提供する義務があんのよね~。

 それも、底を突いてしまったか~。


「麦の実が枯れる病気……。もう土地を捨てるしか……、生きる術が思い浮かびません」


「え~。困るよ~。領民が減っちゃうじゃん?」


 ちょっと、ちょっと!

 思い止まってよ。

 でも、もう手詰まりなのは、変わりがない。

 そんな時だった。


 ――ピカ


 背後の女神像が、光り出した?


「「「おおお? リナ様、何を?」」」


 あーし? 何もしてないよ? 毎日お祈りを捧げてるだけ。


『シスター、リナ……。貴女の祈りに応えましょう』


 頭に声が響いた。これ、女神様の声?

 領民たちにも聞こえているみたいだ。


『さあ今こそ、欲しい技能スキルを選びなさい……』


 ふむ?


「「「リナ様。今こそ農業関連の魔法か技能スキルを!」」」


 領民たちが、期待の眼差しをあーしに向けてんだけど……。

 う~ん。でもそれじゃあ、目先の問題を解決するだけだな~。


「領地の問題を解決する人材を集める技能スキル! これっきゃない!」


 うん、あーし賢い。自画自賛しちゃう!

 領民たちは、唖然としていた。


『えーと……。もっと単純に……、名詞か単語にして欲しいんですが……。人材を集める? それも条件付きで? 人材派遣?』


「今のさ、麦が枯れちゃうのもさ、植物に詳しい人が、領地に来てくれれば解決する訳じゃん?」


「「「……」」」――シーン


 うん、誰からも反論がない。

 あーしの発想力に着いて来れないんだな~。


『……』


 あれ? 女神様? 黙んないでよ?

 女神様的にも意外だったのかな?


『そ、それでは……、異世界の勇者を召還する技能スキルを授けましょう。異世界召喚魔法です』


 あれ? 予想外の技能スキルが来たぞ?

 それと異世界の勇者って、誰?

 この世界の学者を、偶然を装って呼んで欲しかったんだけど……。


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