第13話、お嬢様は、学校へ登校されるご様子でございます。
今日は、櫻子(さくらこ)嬢様が学校に通われます。
櫻子(さくらこ)お嬢様の通われている学校は、”聖ミカエル女学園”、良家の子女が集う超名門校でございます。
お嬢様は、今高校一年生でございます。
◇
「行ってくるわ、マリアージュ」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
マリアージュが頭を下げた。
学園の門に向かう。
入り口に警備員が立っている。
警備は厳重だ。
「ごきげんよう」
歴史を感じさせる重厚な雰囲気の校舎が見えてきた。
親友であり幼馴染でもある、紀伊国屋(きのくにや)栞子(しおりこ)様を前に見つけた。
少し早足に追いかける。
「ごきげんよう、
私(わたくし)が声を掛けた。
「ごきげんよう、
ショートカットの女生徒が振り向いた。
切れ長の目が優しく細められる。
「教室まで一緒に行きましょう」
「ええ、行きましょう」
「見ましたわ」
「なんと麗(うるわ)しい」
「清楚可憐な
「しかも、黒須重工と紀伊国屋財閥の御令嬢ですわ」
「しかも、
「あこがれの君です~」
少し離れたところで女生徒たちが騒いでいた。
◆
歴史の授業だ。
初老の先生が授業をしている。
ボソボソと
ウトウト。
「……赤色巨星化した太陽に飲み込まれた地球は……」
「……各国が協力して惑星開発公社を作り……」
「……銀河系外縁部を目指し巨大宇宙船三万隻を……」
「……月を二つに割り……」
「……ファーストビル《始まりの地》計画という……」
「……開拓移民船団が出発して2百年が過ぎ……」
「10億人だった人口が今や20億人近くに増えているのです」
コクリッ。
はっ。
いえ、決して居眠りなどしていませんわっ。
昨日夜遅くまでゲームをしましたけれども。
授業が終わった。
「
手には携帯端末を持っている。
「い、いえ、大丈夫ですわ」
ゲームで夜更かしして居眠りしたとは言えませんわっ。
「そうですわっ、明日は土曜日ですわ」
「
「
「なかなか油断ならないゲームですわよ」
「”プラネット・フロンティア・オンライン”ですね」
「最近忙しくて、(このゲーム)をお誘いしたのですが、まだ始められていないのです」
「まあっ、それでは最初の方を教えてさしあげますわ」
「うふふ、明日が楽しみですわ」
◇
朝です。
私は学園の近くにあるセーフハウスで、メイド服から“軽原動機付き動甲冑”に着替えました。
「マリアージュ隊長、チームα準備できました」
五人の男たちが、同じように軽MAを着て私の前にならびました。
「よろしいでございます」
「学園の警備網に引っかかって学園に迷惑をかけないようにしましょう」
学園内には監視カメラや感知センサー対人レーダーがたくさん設置されています。
過去に一度引っかかったことがあるのでございます。
学園に謝罪して始末書をたくさん書きました。
誰にも気づかれず影からお嬢様をお護りするのが我らの任務。
「ステルス迷彩起動しなさい」
シュン
全員の姿が見えなくなりました。
「各自の持ち場に散開するでございます」
「了解」
警護隊員が姿を見せず音も無く学園内の持ち場に移動しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます