第8話、お嬢様は、巨大杭打機を装備なさるご様子でございます。
相打ちでお嬢様は、”ホーンラビット・サウザンドレギオン”に倒されてしまったのでございます。
始まりの場所で呆然と立ち尽くされております。
そろそろ、姿を現したほうがよろしいでしょうか。
しかし、お
◇
「…………」
ああ、またですわ。
どうしても隣の町までたどりつけませんの。
こんなにいい天気なのに。
空を見上げた。
ポツポツ
ザアアアアアアア
ゲリラ豪雨が降り出した。
「どうしてですのおおお」
”鈍竜”のバイザーが自動で下りる。
”鈍竜”は重厚なフルカバードの機体だ。
体は濡れないが心は濡れた。
しょんぼり。
「えーと、また駄目だったのか?」
シズクから心配そうに声を掛けられる。
「……はいですわ」
気落ちした声で言う。
「一つ聞いていいか?」
「はい?」
「なぜ、武装しないんだ?」
「……
「いや、確かにな」
仕草一つとってもお上品である。
「……敵が怖いのです……」
「今までどうしてたんだ? 敵も出ただろう」
「目をつぶって、その場でじっとしておりました」
「あ~、”鈍竜”の防御力のなせる技か~」
実は、ホーンラビットは敵対状態でいる距離が狭い。
少し離れるとすぐに敵の状態でなくなるのだ。
つまり、ホーンラビットからは簡単に走って逃げられる。
「”鈍竜”を着ていては走れないかあ」
「原動機付き
普段着でも隣町までたどりつけるといわれる理由だ。
「話は聞かせていただきましたっっ」
突然背後から大きな声がした。
振り向くと、クノイチ型のMAを着た金髪の女性が立っていた。
160センチくらいの身長。
見た目を変えているのか、耳がエルフのようにとがっている。
頭にはホワイトプリム。
口元はマフラーで隠されている。
「私の名前は、マリア―……”マリア”と申します」
「
「通りすがりの、お助け金髪クノイチメイドでございます」
胸を張った。
ポヨヨン
厳つい胸部装甲がゆれる。
「は、はい」
どこかで見たことがあるような?
「店主、目をつぶっていても当てられる武器があるではありませんかっ」
金髪メイドが身を乗り出して言う。
「あ、いや、だから、MAを脱いで走ればだなあ」
「あるんですのっっ、マリアさん」
「
キリッ。
マリアージュがきめ顔で言った。
◆
”巨大杭打機”
通称、”パイルバンカー”
直径、十センチ、長さ一メートルの杭を前方に打ち出す装置。
杭の破壊力と、打ち出した時の衝撃波が強力である。
なおその重量から重MAにしか装備できない。
◆
「ほんとにいいのかい?」
シズクだ。
「ふふふ、黒くて硬くて太くて長いでしょう」
マリアージュが頷きながら言う。
「い、言い方あ」
シズクである。
「はいっ、これを下さいましっ」
◇
お嬢様がさらにりりしくかっこよくなられたのでございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます