第7話、お嬢様は、隣の町へ行けないご様子でございます。
受け取るために(MAを着ずに)街を歩けば、振り返る人が沢山いるのでした。
◇
「来ましたわっ」
現実時間で三日後、生産系のトッププレイヤーである”シズク”の元を訪ねた。
「出来てるぞお、見てくれ」
シズクが店の奥に案内する。
「こ、これは」
胸のクロスの意匠はそのままに、いたるところに具足のような短冊状の装甲が追加されている。
最も特徴的なのは、両肩のラウンドシールド(円形盾)だ。
「甲冑の出力を上げて、フローティングシールド(浮遊盾)を二枚装備させてみた」
「ふふ、空飛んで、自動で防御するぜ」
両肩に円形盾、背中の原動機がこころなしか太くなっている。
「あ、ありがとうございますっ、ですわっ」
「これで、ホーンラビットも怖くありませんし、隣町まで行けますわっ」
「えっ」
それって極初期のチュートリアルでは?
食料さえ持っていけば、MA無し、普段着でもクリアーできるはず?
「早速、行ってきますわっ」
”鈍竜”改を着こんだ。
ピピッ
[初めての改造]、DP,10,000入手
[防御力30を突破]、DP,10,000入手
[防御力40を突破]、DP,10,000入手
[防御力50を突破]、DP.20,000入手
[一体も敵を倒さず防御力50を超えました]
DP,30,000,000入手
“ホーンラビット・サウザンドレギオン”は群れで一体のボスモンスター扱い。
群れを倒し切らないと元に戻り、途中倒したことは無効になります。
称号:“防御に殉ずる者”が三段階上昇。
”防御を極めし者”を得ました。
スキル、”殴った相手も痛いのだ”(N・A・I)が、
“倍返しだあ”(B・G・D)に昇級しました。
効果は、受けたダメージを倍にして返します。
ステータス画面に表示される。
「なんですか、これわああ、ですわっ」
シズクに見せた。
「ははははは、凄いじゃないか」
「防御系の称号なんて初めて見たよ」
大笑いされた。
「気、気を取り直して、行ってきますわ」
食料も持った、防御力もあげた。
「今度こそ、隣の町ええ」
前の場所で、ホーンラビット・サウザンドレギオンと接敵。
二つに円形の盾が周りを舞う。
コツン
パキイ
スキル、”倍返しだあ”(B、G、D)により、攻撃したホーンラビットはパキイという音と共に光の粒子になった。
「いけますわあ」
でも、怖いからギュッと目をつぶった。
コココココココツン
パパパパパパパキイ
かなりの長時間続いた。
チラリと目を開けた。
あ、あと少しですわっ。
コツン
パキイ
最後の一匹のウサギが消えると同時に
辺りが光に包まれる。
「どうしてっ、ですわあああ」
始まりの場所に戻された。
◇
ゲームではシステム上、どれだけ防御力を上げても必ず一ダメージは受ける仕様でございます。
偶然最後のウサギ一匹と一緒にお嬢様は光の粒子になりましてございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます