第148話 着替え

 国王との話し合いが終わるタイミングで、王妃様が現れたが、メイドを数人引き連れてきた。


「お話は終わりましたね?」


「終わったが、何かあったか?」


 国王が答えるも、王妃はそのまま指示を出す。


「分かりました。皆さん、やってください。セルカッツ様は動かないでください」


「ちょっと、うわっ!くぇええ!」


 セルカッツの悲鳴がこだまするが、あっという間にメイドさん達により身ぐるみを剥がされ、下着のみになった。そこからいかにもお貴族様!といった派手で、これから舞踏会に行くのか?といった服を着させられ、裾などを直されていく。


「腕はそのまま。少し右を向いて!あら?かなり鍛えていらっしゃるのね。素敵!」


「右足を上げて!次は左。そっちじゃなくこうよ!両手を広げて!」


 ダメ出しを喰らいつつも、服だはあっという間に丁度よいサイズに仕立てられていく。


「やはり新人戦を制しただけあって鍛えているんだね」


「あ、あのう、王妃様?これは・・・・」


「うふふふ。よくお似合いですわよ。さて、何故着替えたのかしらね。もうすぐ分かりますから、この子達の指示に従ってくださいまし」


 王妃様の圧が中々で、セルカッツは黙ってされるがままになっていた。

 嫌な予感しかしないが、国王もセルカッツの横で着替えていた。

 もっとも用意された福に袖を通すだけで手直しはない。


 貴族や王族はメイドの前で裸になろうとも恥ずかしさはないが、これは別の話だ。


 王妃様の前だというのも大目に見よう。

 それは良い。

 しかし、問題は何の為に着替えさせたかだ。

 国王よりも目立つ服だ。


 王妃様は教えてくれず、国王に聞いても知らされていないと言う。


 着替え終わると王妃はうんうんと1人納得していたが、セルカッツの混乱振りに拍車をかけるだけだった。


「では座ってください」


 もちろん後ろを向かず、迷わず腰を下ろす。

 そこにはさっと椅子を差し込むメイドさんがいる。


 お湯が入った桶を載せたワゴン車を、執事が押して入ってくる。

 タオルやらをもって入ってきたが、後ろから現れたメイドは髭剃りを持っていた。


 セルカッツは後ろ側からメイドに頭をホールドされ、上を向かせられた。

 その下には暖かいが柔らかなクッションがある。

 おかしい。

 感覚がおかしいと思うもホールドされ、別の方向を向けなかった。


 多分胸だよな?と声には出さないが、その状態で髭を剃られる。


 髭と言ってもまだ薄い。

 なので、引っ掛かりもなくスムーズに剃られ体を起こされると、髪をセットし始めた。


 そんなセルカッツを肴に国王は王妃とお茶をしていた。

 しかし、国王が王妃に何をするのかと聞くも王妃は不適な笑みを浮かべるだけだった。

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