第119話 お嬢様に負けました・・・

 旅は順調に進み、ハーニャがアイリーンの身代わりのヤーマと連絡を取る時、流石に今度は魔力供給をするのに抜かりなかった・・・いや・・・ぬかった。


 そうそう、マーヤが指輪を外した後のハーニャはアイリーンの姿だ。

 短く言うと金髪の縦ロールでメチャクチャ美人。

 胸は・・・控え目ではないとしか言いようがない。


 その胸を触る時は興奮してしまい、アイリーンを真っ赤にさせてしまった。


 今は宿の出入りもフードを被っている。

 毛染め剤を買ってきたので赤茶けた色に染めたり髪型を変えた。

 縦ロールは如何にも貴族様です!と言った感じで目立つから。


 そして、マーヤが夜に指輪を嵌めたので、姿が戻ったのだ。

 俺が胸を堪能し、じゃなく、魔力を送り指輪に魔力を込めているのは胸が縮んだ後だ。

 当たり前だが、指輪に魔力を込めるのは姿が変わった後だ・・・

 

 ハーニャのもかなり大きいが、アイリーンは別格だ。


 だから問題が1つ出た。

 そう、直ぐに直したが胸周りがきつくて服がパツンパツンで着られなかったのだ。

 なので、宿から出られなくもないがコートを脱いだらパツンパツンなので子供の目によろしくない。


 舞踏会なら胸の谷間がくっきりはっきりとしたドレスだから良いが、慌ててメイヤとタニスがサイズを調整していた。


 そしてマジックアイテムを通してマーヤと話しを始めた。


「無事で何よりね。手短に現状を教えて!」


「はい。トイレで指輪を外しましたが、怪しまれずに無事に学内を歩く事が出来、しかも誰かに呼び止められることもなく学校を出られました。その後近くの路地で着替え、定宿にする宿に行きました。町はアイリーン様を探して大騒ぎで、今は若い女は町から出られません」


 町は大騒ぎになっているようだ。

 他国の王族が忽然と姿を消したのだから無理もない。

 荷物はそのままで、(お金で買える物)学校内でトイレに入った複数の生徒が目撃されていたが、トイレに入ったのを最後に足取りが不明となり騒ぎになった。


 貴族向けの寮に戻っていなく、荷物も宝石類もそのままだったからで、マーヤは本当に大事な物だけ持って消え失せてみせた。


 町では大規模な捜索が行われ、マーヤが泊まっている宿にも捜査が入る徹底ぶり。


 マーヤはこの事態に備え偽の身分証を持っていた。

 もとい、本名でなので鑑定持ちに鑑定されても問題ない。

 それとハーニャが持っていた収納能力のある指輪はこの指輪の第3の能力だった。

 左手の中指から外すと、みすぼらしい古臭い価値のない指輪だ。

 マーヤは右手にはめているが、これにより収納だけは使える。


 マーヤは暗殺術に長けており、一応冒険者として登録していた。

 今は冒険者として定宿に決めた宿にいるのだとか。


 ただ、今はまだアイリーンが町にいるとして捜索しているが、あの容姿で見つからない場合、町の外に連れ出されたと見做し、捜索が打ち切られるのはあと2、3日だろうか。


 マーヤの報告は短い時間ではあったが、最後にと素直にぼやいていたな・・・


「お嬢様に負けました・・・」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る