第100話 お菓子つくり

 その日、一度ジンベイ達は引き上げ、使用人候補を連れてきた。

 他の屋敷に無理に雇ってもらう話を反故にした者もいる。


 メイドが2人増えた。

 20歳と22歳で、しっかりと教育されたザッツメイドだ。

 ダイランド家でも働けそうな感じだったが、元の屋敷で働けるなら話はなかったことにすることにはなっていたらしい。

 執事は34歳が1人。

 それと見習いだ。

 ダイランド家のことを考えると少ないが、まあこれからだろう。


 今後どうしていくか、どうしたいのかにも依るが、子供達にはメイド、執事としての教育をしようと思う。

 皆の役に立つし、将来の働き口に困る事はないだろう。

 3日もすれば全員揃うので、屋敷の事については任せられそうだ。

 なので、本格的な商品の開発と製造へとシフトできそうだ。


 開発はアルテイシアに任せようと思う。

 現代知識を持ち合わせているから、その知識と女だということから俺では思いつかないことを考えてくれるだろう。


 ウルナ自身は鏡の作成だが、子供達には香水の開発に注力してもらっている。

 もちろん勉強をしてからだ。

 と思ったのだがゲームと違い、スキルを使うと魔力を使う。

 それもあり、朝食の後鏡やまな板を作り、ある程度の魔力を使った後勉強や簡単な戦闘訓練などの学習タイム。

 そしておやつタイムの後またモノづくり。


 幸いな事に甘味料が手に入り、メイヤ達がおやつを作っていたんだ。

 勉強の間食やモノづくりのご褒美として出していたので、何をするにも目を輝かせながら真剣に取り組んでくれていた。


 小麦とほぼ同じ性質の粉、新鮮な卵、牛に似た動物の乳が手に入るので、バターを作り、クッキーを焼いたりしている。


 ダイランド家では俺が厨房に入るのを良しとされなかったから、図などを書いてメイヤにドーナツとかを作らせていたんだ。


 特に甘党と言うのでもないけど、作ったお菓子の大半はメイヤに試食として食べさせていたんだ。

 タニスとハーニャにも分けて食べていたそうなんだ。


 しかし、今回はアルテイシアと一緒に作り、レシピを学んでもらったんだ。


 俺のは一般的に知られているのだったけど、アルテイシアは元々お菓子作りが趣味だったようで、かなりのレシピを知っていた。


 だけど、この世界ではそういったお菓子を食べたことがないと言う。

 貧しい家庭に育ったからそんなお金はなかったようだ。


 もっともお金の問題ではなく、お菓子は侯爵家以上でないと材料を買う余力がなく、作れるものも少なく滅多に食べられなかった。


 だから使用人にこっそりお裾分けし、俺の人気を取っていたんだ。


 ただ、ダイランド家では、将来に備え仲間に引き込む打算があった。

 それもあり、準備ができていた。


 しかし、今は違う。

 純粋に子供達、仲間の笑顔を見たいからだ!

 これらのお菓子も売れるかな?



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