第96話 木の切り出し

 俺達は洗濯板を作るべく、材料集めに動いていた。


 子供達とリアカーを曵き薬草採集に来ている。

 えっ?言っている事がおかしいって?

 子供達は薬草採集に来ていて、大人はその守りと木の伐採だ。

 子供達以外では黒き薔薇の面々と来ている。

 メイヤ達は屋敷にいてもらっている。

 彼女達はメイドとして教育されており、家事全般ができる。

 その為、屋敷の整理を託した。

 ヨルミクルとミジックルは屋敷の警護だ。

 主従が逆転したが、元々知っている者がいる方がやりやすいだろう。

 ただ、ミジックルはヨルミクルは死んだのだと思っており、顔の治った美人さんがヨルミクルだと名乗っても信じなかった。

 まあ、命令してまでヨルミクルと認識させるまでもないので、彼の中でこの女性はヨルミクルを詐称する謎の女にしておこう。


 主に女性陣に子供達の護衛を任せ、男衆は木の伐採だ。


「倒れるぞ!」


 ダイダルスが叫ぶ。

 そうそう、ダイダルスの斧の活躍の場が来たんだ!

 スキルによる斧の一振りは、直径25cmほどの木を斜めに切断した。

 しかし、切り口が鋭利過ぎてすぐに倒れる気配がない。


 そこでロープを回し、皆で引っ張ってバランスを崩す。

 すると切り口が動いて気が揺れ始めた。

 体当たりでやる手もあったが、その場合、倒れ方によっては下敷きになるので却下し、ロープで引く事により距離を取った。


 バサバサバサと音を立てながら木は倒れ、皆で枝を落として丸太にした。


 そこから長さ40Cm、60Cm、80Cmほどの長さの丸太に切り分けた。


 そこからまたもやダイダルスの出番で、丸太を2cmほどの厚さで切り出して板を作る。


 スキル様々で、コノギリで切り出すのとは違い切りくずが出ない。

 丸みを帯びた端をカットしたらこうなった。

 巾25cm 1枚。以下は各2枚。cm省略。

 巾

 24.5

 23

 21

 17

 12

 こんな感じで板が取れた。


 丸太は下記のように切り出した。

 40Cm 6本

 60Cm 6本

 80cm 5本

 計11本だ。

 で、板は各丸太から11枚になったから、合計で121枚だ。


 屋敷に帰ってから、生産系のスキルを持っている者達に加工指示を出す。


 リアカーは5台で来ており、分散して運ぶ。

 男衆は1人1台、女性陣は2人で1台を曵く。


 高々1本の丸太だけど、重いんだよね。

 板を買うと高いから、こうやって切り出して先ずは作ってみる。

 桶に使われている木だから、耐水性は高いと思いたい。


 子供達は香水用の薬草採集をしていた。

 これらの薬草類は回復ポーション用のとは違う群生地に生えており、株ごとある程度抜いてきており、屋敷の庭で育てる予定だ。


 鏡を売るのがメインだけど、それだと市井の人々は高いと思い込み、見向きもしないだろう。

 しかし、日曜品も扱っていれば、目に止まることもあり、小さいのだと手が出なくもないと分かれば、売れると思っている。

 何せ500円玉サイズを金貨1枚、30cm四方のを金貨20から30、姿見を2000枚と考えている。

 領主様からすると安いと思うかもだけど、問題は姿見。

 この世界では輸送が困難で、他国に行くと数倍にまで膨れ上がると思う。


 そんな事を考えながら商品の試作作りの工程等も考えていた。

 因みに翌日からは、俺は木の切り出しには行かない。

 初日だからで、別の事に注力したいからだ。

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