第3章
第93話 新生活稼働
俺は忙しく動いていた。
早朝は庭で俺自身を含め、冒険者登録している面々達と訓練をする。
朝食後、午前の早いうちは屋敷に住む半数の者に魔法や一般知識を教えようとした。
2班に分け、1日おきに屋敷のことをする者と、教育を受ける者を分けた。
概ね戦力が半々になるよう、氷艶の魔眼と黒木薔薇を分けた。
因みにアルテイシアは俺のサポートだ。
何せ高校でちゃんと学んでいたから、この世界の貴族のことを教えるくらいしか無い。
英語を話せる事から、元々話すことができたのでなければ、かなり頭は良い。
俺は駄目だ。
何せ受験勉強のためだけでしか学んでいなかった。
成績はそこそこだけど、いざ外国人に話し掛けられると、タジタジになるほど実践経験はない。
だが、大学を出ているし、システムエンジニアをしていたから、恐らくこの世界では賢者と言われるほどの知識を持つ。
いかんせん、天動説がまかり通っている。
しかし、ちゃんと日蝕や月蝕の日は押さえられている。
だから本当に賢い奴は地球はしがない惑星だと分かっている。
少なくとも太陽の周りを惑星が回っており、地球もその1つだと。
太陽とか地球というワードは便宜上で、そう訳されている。
勿論この星が日本がある星ではない。
未来や過去の違う時間軸という事もない。
それは夜空を見れば分かる。
オリオンやプレアデスも夏の大三角もない。
アルテイシアは奴隷から解放された時とても驚き、そして安堵の息を漏らした。
また、自分がしたことは無駄だと分かると肩を落としたものだが、立ち直ると俺に猛アプローチ?するようになった。
最初は怒りで真っ赤になっていた。
理由はヨルミクルとアルテイシアと一緒に寝たのに、手を出してこなかったことだった。
胸を揉んでやったが、それは手を出したうちに入らないの言い、ABCのBだからだそうだ。
意味がわからないけど、最後までやってやったらそれはそれで人でなしだとか、女の敵だとか罵られるはずだ。
「私はそんなに魅力がなかったですか?女として見られてないの?」
責められた。
「おっぱいが好きなんでしょ?ほら、揉みなさいよ!赤ちゃんみたいにチュパチュパ吸いたいんでしょ?そしておっぱい美味しいでチュって言うんでしょ?言わないの?言いなさいよ!」
まくしたてられた。
俺ははっとなり、アルテイシアギュッと抱きしめた。
彼女は一瞬ビクッとなったが、背中に手を回してきた。
「怖い思いをさせたね。初めては好きな人とロマンチックに過ごしたいだろ?それまで取っておくと良いよ。俺はロリコンじゃないから、中学生位の子は抱けないよ」
この世界では14歳の信託の儀を持って大人となり、自分の意志で結婚も子をなすことも可能だ。
俺がロリコン云々の話をするとハッとなったようで、日本だとまだ中学生だ。
まあ、中には初体験を済ませた者も出始めるだろうが、少なくとも子を育てる経済力はない。
だからまだ子供だ。
しかしこの世界は違う。
寿命が違うから、早く子を産まなければ、子が独り立ちする前に親が死んでしまい兼ねない。
そんな者達がウルナの下に集まったのだが、やはり学力は絶望だった。
ウルナも文字の読み書きができない。
それが分かったのは朝を勉強を始めた初日だった。
アルテイシアもこの世界の文字を書けなかったので、最初の課題として文字の読み書きと、簡単な四則計算だ。
それもあり数字から教えた。
計算ができないと生活にも困るし、過去にそれで散々泣きを見てきたらしい。
お金は暫くと言うか、これからは困らなくなる。
鏡とその他、販売する商品を揃えていた。
その中の1つとして選んだのは洗濯板だ。
よく小説にも出るが、この屋敷にあった洗濯道具に洗濯板はなかった。
庶民向けに洗濯板、富裕層向けには香水だ。
ずっと気になっていたんだけど、ウルナと領主の奥様達を比べると、ウルナ達の方から良い香りがする。
匂いフェチとかどうかは置いておいてくれ。
奥様達も香水を使っているし、大ランド家でもそうだった。
それより何故かウルナ達の方が良い香りがする。
そこで聞いてみた。
「なあウルナ、君達って香水を使っているよね?それはどんなんだい?」
「そんな大したのじゃないわ。薬草採集に行くと、いくつか良い香りのする草や実があるの。それらを組み合わせて混ぜると良い香りがするし、虫に刺されないの!」
「そ、それだ!レシピを教えてくれ!それを使って香水を作れば売れるぞ!」
「誰も見向きもしない草ですわよ?」
「薬草も元々は雑草だったんだよ。誰かが気が付いてからは薬草だけど、ウルナが使っている草や実もその香水が売れるようになると、高価値の名前持ちの草や実になるよ!凄いな!うん!」
そうしてアイデアを出し、商品化に向けて俺達は試行錯誤を重ね、子供達は勉強の後それらの薬草を採集に行く計画を立てた。
採集に行く子供達には多目にお小遣いをあげるようにしたら、目を輝かせていたよ。
もちろん護衛をつけるのを忘れない。
そうやって、商売の方を進めようと、皆も盛り上がり着々と計画を進めていくことにした。
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