第69話 セルカッツVSタニス

 俺が闘技場に戻った時、丁度アルテイシアが戦っていた。

 ただ、動きに精彩を欠き、一方的な防戦となり追い込まれていた。

 アルテイシアが一度距離を取る。

 俺は司会の傍に行き、コルニアの治療具合を伝えた。

 あのオカマはコルニアの様子を見て倒れていた気がする。


「ここでコルニア選手の情報が入りました。セルカッツ選手が医療室に連れて行き、治療の結果、命に別状はなく腕の接合も無事に終わったとの事!我らの誇る治療士達の優秀さが証明されました!」


 そこからのアルテイシアは水を得た魚の如く敏捷な動きで、相手の武器を絡め取り地面に上で押さえ込み決着した。


 続いてベスト8の座を掴む戦いだ。

 俺とタニスだ。

 遂に同門対決。

 このトーナメント戦の組み合わせは作為的に作られているとしか思えない。


 それはともかく、タニス相手に油断はできないが、怪我はさせたくない。


 タニスは両手剣だ。

 近接スキルで何故か両手剣が生えたんだよな。

 無手の格闘では間違いなく俺に勝てない。

 そこで総合ではスキルが生えた両手剣で挑む事にしたのだ。


 開始の合図と共にタニスは駆けた。

 髪を揺らしながら駆けていたが、剣の間合いに入る直前に跳躍し、両手に持つ剣を2本共俺目掛けて投擲してきた。


 何かを仕掛けて来るとは思ったが、大胆な作戦に出た。

 俺は剣で2本の剣を弾いたが、タニスが眼前に迫っており、ショルダーアタックを食らった。


 咄嗟に腕をクロスさせてガードしたが、驚いた事に左腕が折れた。

 正直舐めすぎた。



 倒すにしろ、少しは見せ場を作ってやろうと思って先手を打たせたが、俺が教えていないやり方で攻めてきた。


 それに予想外のダメージだ。

 しかし、俺の方も火が着いた。

 彼女の眼前に剣を投げる。

 えっ?と戸惑い剣に手を伸ばす。

 意識が剣に向いており、視界というか、意識の外から背後に回り込み、首に手を掛ける。

 グッと締め付けた。

 暴れて振り解こうとするも、彼女よりも俺の力が上なので、それは叶わず数秒で落ちた。


 落ちている剣を拾い、その首筋に刃を添え決着した。


 取り敢えず活を入れタニスを目覚めさせたが、タニスは自分の身に何が起こったか直ぐには理解できなかった。


 俺はタニスに手を差し伸べると手を握ってきたので、ぐいっと引っ張り立たせた。


「私・・・負けたんだ・・・」


 その目には涙があった。

 俺はそっとその涙を手で拭い、それから己の腕に手を回してリカバリーを掛ける。

 すると痛みが引き、骨が繋がったのだと分かる。


 肩を回し、腕を確かめるとタニスが質問をしてきた。


「腕・・・どうしたのよ?」


「タニスの一撃をくらいポッキリと折れたんだよ。流石にアレは効いたぞ!成長したな!」


「私の一撃って届いたんだ?」


「ははは。油断したのもあるけど、タニスの力を見誤ったようだ。アルテイシアに魔法を食らった次にダメージが入ったよ!」


 すると俺の勝利宣言がされ、俺のベスト8入が決まった。


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