第67話 ネタ技再び
先ずは俺とミジックルの対戦だ。
他の試合も見たいから、とっとと終わらせよう。
今回の俺は片手盾剣スタイルと、オーソドックスなスタイルで行く。
「この時を待っていたぜ!情けを掛けた事を後悔させてやんよ!別に優勝なんざいらねえ!そんなもん良い子のヨルミクルにくれてやるぜ!俺はてめえをぶちのめせれば満足だ!殺されても文句はねえんだよな!」
「そもそも死んだら口を聞けないだろ!とっとと掛かってこい!」
俺は手を前に出し、手のひらを上にした状態でクイクイと来いよ!と安い挑発をすると、三下らしく釣れた。
チョロいな。
と思ったんだよ。
奴がふっと笑みを浮かべたから、奴の方が挑発していたようだ。
恐らくヨルミクルに俺の人となりと、それに伴う戦略を聞いていたのだろう。
分かっているぜ!想定内だぜ!的な余裕が見られる。
うーん、頭に血が上って突っ込んできた所に脚を引っ掛け、無様に転がすつもりだったが・・・来た!
司会が開始と告げると、他の3箇所の試合も始まった。
「死ねやぁ!」
俺の方はと言うとミジックルが、いかにもと言った感じで槍を手に掛けてくるのを真面目に対処する事にした。
間合いに入ると鋭い突きを繰り出す。
雄叫びとは裏腹に冷静にやっているので、メイヤの時とは違い、鋭い攻撃だ。
今の攻撃をみる限りは、愚か者だが馬鹿ではないようだ。
でもな、相手が悪い。
それでも、俺も会場を沸かせるのはやぶさかではなく、俺に一撃当てさせ、ミジックルの見せ場を作る。
もっともこれも作戦で、猛攻に押されて苦戦している感を出す演出だ。
腕に軽い一撃をくらい距離を取った。
「一撃入れた褒美にネタ技を披露しよう。お前に受けきれるか?」
俺は走りながらミジックルに盾を投げ、視界を奪う。
地面を蹴り、縦目掛けて飛ぶ。
風魔法で足を盾がある方に向けるよう姿勢を無理やり変えた。
ミジックルー盾ー地面に対し平行に跳ぶ俺。
こんな感じで、俺の姿は盾で見えないはずだ。
盾はゆっきりとミジックルに向かい、盾がミジックルに届く前に俺は盾を蹴り込む形で跳び、盾がミジックルに肉薄したタイミングで足が盾に当たった。
ミジックルは盾を払いのけようとしたが、俺の体重が乗っており盾に押し込まれる形で吹き飛び、俺は奴の腹の上に盾を下にして立っていた。
ミジックルは頭を打って気絶し、剣の腹で頬を叩くも反応がなく、司会が俺の勝利を告げた。
審判が駆け寄り手をクロスさせたからだ。
又もやネタ技だ。
コータローまかりとおる!で、扇子を相手に向けて広げ、扇子しか見えないようにし、その扇子を突き破り蹴りを繰り出す技だ。
確か極めると扇子の変わりに手でできるのだとか。
注)扇子を突き破るのではない。
俺は漫画の技をリアルで試そうとしている。
そう、盾を使って。
流石に扇子程度では無理でも、盾なら!
もっとも別の技になったし、武器別では盾は鈍器扱いだったから使っていないけど、総合なら行けると適度な相手に試したかったんだ。
しかし、漫画の技を再現するのは難しいな。
確か扇影。
裏千葉流の技。
解釈や再現方法が違うけど、まあこれもこれでありかな。
ただ、俺が繰り出した技を見て会場からどよめきが消え、ほんの数秒だが静寂が訪れた・・・
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