第64話 アルテイシアとの闘い
戻って来たアルテイシアは青ざめながら俺に頭を下げた。
「ごめんなさい。殺してしまうところでした。怪我は・・・治療されているのですね。しかし、それと胸を突いたり、お尻を撫でた事を不問にする事は別ですわ!この不埒者!」
「それはわざとじゃないんだけどな。コホン、正直魔法攻撃をして来たのには驚いたけど、ダメージは回復したよ!ほらこの通り」
俺はその場でバク転をしてみせた。
「見事ですわね」
「ああ。これでも大学では体操をしていたんだ。床が得意でね。準備は良いか?アイツラも終わったようだし、俺もそろそろ本気を出すよ。君の実力もほぼ分かったから」
「余裕・・・ですわね。私もまだ本気ではありませんが、貴方が本気になる前に倒してさしあげますわ」
再開した後の彼女は動揺しつつも、身体能力向上を掛け直していた。
勿論俺もそうだけど、驚いた事に先程とはまるで動きが違った。
俺は様子見と剣を突き出すと、杖が俺の剣を絡め取ると後方に投げ、そのまま石突側で俺の胸を突こうとする。
スウェーで躱し、そのままバク転に移行し、立ち上がりながら蹴りを繰り出す。
「キャッ!」
短い悲鳴と共に、彼女の手から杖が落ちた。
彼女の手から岩砲弾が次々と射出され、俺はトリッキーな動きで躱す。
変則的なバク転、バク宙、側転を駆使し、彼女の猛攻を躱す。
意地でも攻撃魔法が当たらないように躱していく。
魔法による攻撃は反則なのだが、当たらないと一時退場にならない。
逆を言えば当たらなければ、攻撃魔法はありなのだ。
俺は魔法で地面に水を撒き散らしながらアルテイシアが落とした杖を拾い、光魔法で光学迷彩を掛けて見にくくする。
その状態で彼女は俺を追い掛けながら魔法を放つ。
そして水を撒いたところに来たタイミングで杖を投げた。
脚に絡みつき、彼女は転倒した。
白いドレスが泥に塗れる。
闘技大会にドレスで来るなと教えるためだ。
顔に付いた泥を拭うと杖を拾い振りかぶる。
杖に首を引っ掛けてきたので、そのまま引っ張られるが、手を地面に付くと力一杯ジャンプし、無理矢理杖の先端から首を外して空中で回転しながら彼女の肩に手を触れる。
微妙に躱され、肩を外す事が出来なかった。
地面に手を付き、土魔法で彼女の後ろに壁を作る。
俺は満面の笑みを浮かべながら壁走りをし、壁を蹴り、彼女の胸を蹴り飛ばした。
心が痛む。
試合とは言え、女性を蹴り飛ばしたのだ。
彼女は受け身を取り転げないようにし、立ち上がる。
身体能力向上は彼女の得意魔法のようで、俺のより上だ。
レベル差と、体力の差をカバーするどころか、俺を上回っている。
ただ、素人のようで、格闘に疎い。
スキルで戦っているのだと分かり、スキルでない経験からの技で翻弄し始めた。
最初は戸惑い苦戦したが、一方的になってきた。
トドメだ!と後方回し蹴りを繰り出すも、俺の脚は・・・折れた。
斧が投げられたのだ。
それが軸足を穿ち、ポッキリと。
ただ、斧使いはメイヤの槍を受けて気絶したようだ。
邪魔が入ったが、痛みから長引かせたくはなく一気に決めるぜ!
自分の背後にエクスプロージョンを放ち、自らを前方に飛ばした。
火傷をするが我慢だ。
彼女に飛び付き、そのままもつれて倒れる。
寝技に移行してガッチリとホールドした。
必死に振り解こうとするが、藻掻けばもがくほど、俺はその胸に顔を埋めその柔らかさを堪能・・・出来ず、代わりに呼吸が困難に・・・
苦しい・・・
胸がデカくて窒息仕掛けるなんて、何のラブコメだよ!と突っ込みたくなる。
1度ホールドを弱め、体勢を入れ替える。
彼女の胸を左腕で背後から取り押さえ、右腕で締めに入る。
変則的に、掴んだ胸を中心に前方から背後に回り込み、逃さないよう胸を押さえたままだった。
脚も絡めており、彼女の力ではまず振り解けまい。
胸をガッツリ触っているけど、怪我をさせずにアルテイシアさんに勝つのはこれくらいしか思い付かなかった。
別の方法は、失明の危険があるから使いたくなかったからだ。
だけど、なし崩し的に移行した態勢なので胸の感触を感じておらず、触られている本人は犯されると思ったそうだ。
こんな囚人監修の元そんな事しないんだけど、多分痛かっただろう。
すると程なくしてアルテイシアさんは意識を手放し、ぐったりとなった。
しかし、この子本当に14歳なの?という歳不相応な躰だな・・・
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