第25話 グレートオーク
俺達は森から出てくる何かに備えて身構えたが、明らかに音が大きい。
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「グ、グレートオークだ!皆逃げろ!ちぃっ!最悪だっ!俺が時間を稼ぐ!俺1人だけならなんとか離脱出来る!だから・・・構わずに逃げろ!」
逃げるように叫んで対峙すべく身構える。
これはオークの上位種の中でも変異種だ。
ウォーリアー、ナイト、ジェネラルだとかの強さからなるランクとは違い、突然変異種だ。
特定の項目が特筆しており、その体幹能力は通常種の3割増、力は倍とも言われている。
あくまで同じ身長での話であり、実際は数倍になるはずだ。
今の俺達のレベルではかすり傷位しか与えられない。
口を開けた時に剣を突き刺しても歯で掴まれる。
また、目に矢を当てるのが倒す近道だが、至難の業だ。
剣のスキルがあるから向こうの攻撃を躱すのは大した事ではないが、力が足りず傷を与えられないからそのうちバテてしまい、それに伴い動きが悪くなりやがて殺られてしまう。
どう見てもジリ貧だ。
しかも身長180cm、100キログラム超えの巨躯だ。
一撃でも当たれば即戦闘不能になり兼ねない。
また、魔法を使えない代わりに高い魔法防御力がある。
なので近接戦闘で倒さないといけないが、よりによって槍を持っている。
しかもメイヤが持っているのより程度が良い。
辛うじて覚えた補助魔法で身体能力を上げつつ、3人が逃げられるだけの時間稼ぎをする。
幸いグレートオークは足が遅い。
なので森の方に誘い込み、スキル【ライト】で目眩ましをし、その場を離脱するのが現実的だ!
そう思っていたけども、何故か3人が離脱する気配がない。
しかし振り向いて何故なのかを確認する余裕はない。
冷や汗が出るが身構える。
ラージリオンオンラインと同じならば推奨レベルは35・・・
宝剣の力を加味しても5レベル前後足らない。
額の汗を拭いつつカウンターを狙う。
時間稼ぎが1番だからこちらからは手を出さない。
睨み合いになるも痺れを切らせたようで駆けながら槍を突き出してきた。
槍をいなし首筋に剣戟を叩き込むが、やはり薄皮1枚切るのがやっとだ。
まるで剣で樹木を切るかのごとくといった感触だ。
奴は怒りから槍を素早く何度も突いてくる。
寸前で躱しつつカウンターで斬り裂くも斬れるのではなく切れるだ。
やはり硬い皮を斬れず、薄皮を切り血を滲ませる嫌がらせしか出来ない。
中級魔法のアイスランスが放たれ、胴体に当たるも少しよろけただけでダメージは無いに等しく、ハーニャが矢を射るも槍で薙ぎ払われる。
その隙に3人を見たが、タニスが脚を治療されていた。
回復ポーションを掛けて傷を癒やしている。
逃げなかったのではなく、オークとの戦闘で脚に傷を負ってしまい逃げられなかったようだ。
傷は塞がったようだが、メイヤが肩を貸してその場を離れ始めるも逃げ切れないと思う。
こちらの攻撃は大して効かなく、剣術スキルを持ってしても、俺の膂力がグレートになる訳ではないので、当たもがダメージが殆ど入らない状態だ。
そんな俺も槍の石突で殴られ、右目に血が入る。
右側の視界が殆ど無くなり、これ以上攻撃を躱せそうにない。
最早これまでだ!といった状況になる。
なので起死回生の1手を放つ事にした。
「奥の手を使う。俺は多分気絶するから、これで倒せなかったら俺を置いて逃げろ!倒した時は後は頼む!」
えっ?と聞こえたが、先ずはライトで怯ませる。
10秒間貯めが必要なのだが、目眩ましをして、目が慣れるまでの時間は稼いだ。
「ギフト光、解放!」
そう叫ぶと俺の目は怪しく光りだし、光の奔流に誰もが目を開けられなくなる。
グレートオークも同じで、身を屈め、腕を交差させ顔や急所を守る。
俺は唸りながら光を集束し膨大な熱に変換した。
それを狙いを定めると解き放った。奴の腕事胴体すら焼き払い、体に大穴を開けた。
ジュッ!っとグレートオークの胸元から煙が立ち込めている。
また、光線はオークを貫いた後も背後の森の奥へと飛んでいき、着弾地点で爆発を引き起こした。
肉を焦がす臭いが周囲に漂うも、結果を見る事なく俺は魔力切れによりその場に倒れた。
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