第22話 魔物の討伐依頼

 彼女達は俺の前でも平気で裸になる。

 刺激が強いが、努めて平静さを保ちつつ、わざとジロジロ見て筋肉の付き方等を評価してやる。


 最初は恥ずかしそうにしていたが、彼女達なりの意地なのか、俺の前で裸になり着替えるのを辞める気配はない。

 だから真面目に鍛錬の確認の場にして色仕掛けが通用しないと思わせる為だ。


 3人から言われているのは、娼館には行かないでと。

 貴族の親は子がギフトを得るともう縛りがないからと、女を積極的に抱かせる。 

 流石に屋敷にいるメイド等のうち、父親が既にお手付きしているのとは嫌がる。


 奴隷を買うお金のない貴族では高級娼館を予約しておいて、その日の夜に童貞を捨て去らせる話はよく聞く。

 その、彼女達に手を出さない為に男の子は色々処理をしないとね。

 彼女達が風呂に行って入る間とかにそうしているのをどうやってか知られており、中々そのチャンスもない。

 こんな話誰も聞きたくないだろう。

 で、いよいよ溜まってきた訳ですよ。

 なので娼館に行って来ようと、ぽつりとちょっと野暮用で出ると言ったら凄まれたんだ。

 しかも泣かれた・・・


 事の発端はお約束イベントが道中発生したからだ。

 朝起きたらその、下着がやばい事になっているのと変な臭いがすると言われ、おしっこをしてくると行って部屋を出て下着を処分した事に発する。

 健康な男子ならあるあるな内容だ。


 で約束させられたのは、武闘会で優勝したら個別に夜の時間を取って欲しいと。

 まあ彼女達も必死なのは分かる。

 分かるけど、フェアじゃない。


 それを言うと、貴族の娘を本妻にし、私達は同格の第2から第4夫人にしてくれたら良いと、さも事なげなさそうに行ってのけるのは追放された直後から変わらない。


 こんな駆け引きややり取りはつかれる。

 いっその事彼女達の心の安寧の為にも、彼女達の初めての男になり、一生付いて来い!と言った方が楽に思えてならない。

 まあしないけど。

 いや出来ません・・・


 素人童貞の俺は正しい女性の扱い方がよく分からない。

 今世での父はよくも悪くも貴族の当主なのでそこからの話は貴族とはこんなんかとの知識にしかならない。


 女はモノ、産む為の存在で人権はないだと本気で思う救いようのない人種だから当てにならない。

 奴らの唯一の例外は上級貴族以上の女だ。


 実は少しずつ変っている。

 タニスはやはり少し当たりがきつくなってきている。

 今朝なんかはこうだ。


「セル様、脱ぎ散らかさないで!誰が片付けると思っているんですか!全く世話の焼ける人だ事!メイヤはよくやってこられましたね!」


 前世でも汚部屋とは言わないが、着替えは洗濯機から出した乾燥の終わったのをカゴに入れており、そこからほじくり返して着ていた。


 流石に休みの服だけはタンスに入れていたけど、仕事の服はね・・・

 それに今世で貴族な事もあり、身の回りの世話をされるのに慣れてしまった。

 言い訳をするとね、自分で型付けとかをしようとすると、私達が怒られますとか、仕事を奪われると居場所がなくなるから世話を焼かれる事に慣れて欲しいと言われ続けたんだよ。

 だから片付けが下手な事に拍車が掛かったんだ。

 生活者としては何も出来ない人になってしまった。

 それはそれで彼女達との関係は良いのかな?

 彼女達は主人に尽くす事しか知らなく、主人がどっしりと構えて自分達を守って欲しいとの思いが強い。

 いきなり変えても混乱を招くだろうから、お互い補い合う関係から徐々に改善し、俺も家事に参加したいとは思う。

 隠れ家ではお風呂の掃除位しかさせて貰えなかったし。


 コホン。

 大会まで少し日数があるので、戦闘経験を積むのと、お金を稼ぐ為に近くの森に入り魔物討伐をする事にした。

 そこは西の森と言われ、薬草の群生地と隣接している。


 適正レベルの狩り場は分かっている。

 なので実戦経験を積むのに町に着いた翌日から行動開始にした。


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 冒険者ギルドに行き、ホームタウンをこの町に変更した。

 国境を超えた後すぐにパーティー登録だけはしていたので大して時間は掛からなかった。


 何か受付はバーのカウンターのような感じで、思ったのとは違う印象を受けた。

 こんな感じだっけ!?と思うも依頼は受付のおねぇさんの後ろに置かれた棚にあり、希望の依頼を告げると、条件に近い依頼を案内してくれた。


 そして西の森でのゴブリンの討伐依頼をゲットした。

 6匹以上討伐すれば依頼達成だ。

 報酬は銀貨12枚。

 近くと言っても徒歩で40分程になる。


 森の手前に薬草の群生地があり、時折ゴブリンが出て来て薬草採取者に襲いかかるので、それの事前対策に時折ゴブリン討伐依頼が発注される。


 そうして初依頼だな!と俺達は意気揚々と街道を森の方へと進むのだった。

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