第1章

第21話 闘技大会会場への旅

 国境を超えた後の旅は順調だった。

 国境を超えた当日は、服などの旅に必要な物を買った後、風呂がある高級宿に泊まったが、食事をして風呂に入った後、すぐに寝た。

 1つ残念な事があった。

 それは名前を元の名前に戻した途端に、女性陣の話し方が屋敷にいた時の状態に戻ってしまい、俺の事をセル様と呼ぶようになってしまった。


 あのツンデレ口調は友達にはそうしているそうで、これまではキャラを演じていたと言う。

 強制はできないけど、セル様からセルと呼んで貰える程に信頼されたい。


 信頼されたいのであって、愛もないのに体の関係になるのは無理だ。

 まだまだ貴族と使用人の距離がある。

 いくら廃嫡されたと言っても無駄だった。

 はぁ・・・


 翌日からは国境まで足の速い乗合馬車に乗っていったのもあり、徒歩だと2週間の旅程が6日で済んだ。


 町から町の移動は(宿場町から次の宿場町まで)半日で成人の2日の日当相当が取られた。

 半日移動し昼をその町で食べ、また別の乗合馬車で移動するのを繰り返した。


 護衛も付くし、滅多に盗賊も襲ってこなく、道中1度だけ獣の群れが進路に偶々いたのでそれらとの戦闘になった以外、特にトラブルもなかった。


 これまでダイランド家の嫡男として与えられていた小遣いがどんどんなくなって行く。


 国境超えの手続きは問題なく、武闘会を目当てに国境を超える者が多かった。


 闘技に参加して1発当てたい者

 純粋に観戦したい者

 賭けで1発当てたい者

 各国の騎士団や傭兵団、有力貴族のスカウト等、目ぼしい者を雇いたい雇用主側等様々だ。

 勿論、俺達は参加する側だ。


 何故か?

 それは名を轟かせ、父親にザマァする為と、お金を稼ぎたいからだ。


 お金に関しては優勝賞金もそうだけど、自分が優勝する事に賭ければ良いからね。

 自信?勿論、優勝以外あり得ないけど、名を轟かせるよいイベントだ。


 ラージリオンオンラインでは、ゲーム開始から1か月以内に行われる最初の大型イベントだ。

 あくまでもゲームでの話だが、さて、リアル世界でも同じなのか?

 少なくともゲーム開始直ぐに闘技場に向かったのは2度だけ。

 そのうちの1度はリアルタイムで開催したイベントで、日時を決めてAIではなくリアルのプレーヤーと対戦する形での新人戦だった。


 それ以外、つまりやり直した後の闘技大会への参加者を操るのはAIだった。

 参加する面子は毎度同じ。

 結果は俺次第で変わったけど、その初回は優勝出来なかった苦い思い出がある。


 今回は違う。

 ラージリオンオンラインの知識とは別に長年の準備があるし、何よりレベルアップの影響は大きいだろう。

 ゲーム開始から28日後に開始されるので、それまでに俺を凌駕するレベルに達する現地人はまずいない。

 

 他の転生者の動向が気になるが、現実として死ぬかも分からないような闘技大会にどれだけの奴が来るのかな?


 そして俺達は闘技大会の会場であるアレンデルの町へ無事に着いた。


 町は危険な魔物から隔絶する必要から防壁に囲まれているが、ダイランド侯爵領よりも遥かに広い。

 ダイランド侯爵領は辺境で強い魔物が出るエリアに隣接していた為重要な町ではあった。


 税収では賄いきれないので、防衛隊は国から派遣されており、重要な鉱物資源の供給が落ちないようにと配慮されていた。


 しかし、バリラン王国の首都よりも大きい。


 勿論、今は新人戦、その後の闘技大会本戦があり、続々と人が集まっている。

 何とか追放から20日目に到着した。

 登録申し込みは2日後が締め切りだったので、到着した日は最優先として闘技大会への申し込みをした。


 これは宿の確保が優先される為で、主催側が予測されれ参加人数分の宿を確保しているからだ。

 しかも大会開催中の宿代は闘技大会参加者の分は無料となり、取り敢えず1か月分の宿が確保できた。

 大会が終わった後の分は自腹だけどね。


 これは本戦に出場する事を考慮してだ。

 闘技大会出場者は優遇されており、500人程が参加する。

 部門別での闘技大会でもある。

 大会の華である総合だが、部門別とは別に登録可能だ。

 俺    剣

 メイヤ  槍部門

 ハーニャ 弓部門

 タニス  格闘(武器無し)


 また、4人共総合に登録した。

 また、競技は部門別、団体、総合の順で行われる。


 勿論、俺達は団体戦にも登録だ。

 予選は最低3人いれば登録可能で、5戦中3勝したチームの勝ちとなる。

 勝ち抜きではなく、その相手との戦いは1人につき1試合しかできない。

 つまり団体戦については総合優勝できる実力者がいても、少なく共他に2人強い者がいないとどうにもならない。


 但し決勝トーナメントのみ勝ち抜き戦となる。

 又は全員が1度に出る複数対複数によるフィールド戦だ。

 何処かに告知があるはずだけど、主催者が気まぐれでやっている。

 ゲームでは両方だったから調べないと分からない。


 ただ困った事に宿は団体戦に出る者はその者達のみで1室だった。

 3人は喜んだが・・・過ちが起こったらどうすんだよ!



 本日のステータス

(レベルアップ済)

 ★は変動のあった項目


 セルカッツ

 レベル 21★

 ギフト 【光】 

 隠しギフト【女神の祝福】

 スキル 

【ライト】

【剣聖 3】★

【気配察知 4】★

【格闘術 10】★

 隠れスキル

【レベルアップ 10】

【ジョブチェンジ】

 名前 セルカッツ

 年齢 14歳

 職業 冒険者

 ジョブ 剣術マスター

 セカンドジョブ 聖賢


 レベル20で剣豪の次の剣聖が発露したのでそちらも上げている。


 メイヤ

 レベル 20★

 ギフト 【槍姫】 

 スキル 

【身体能力向上 7】

【槍聖 1】★

【縮地 2】★

【格闘術 10】★

 名前 メイヤ

 年齢 14歳

 職業 初級冒険者

 ジョブ 槍マスター ★

 セカンドジョブ 初級魔法使い ★


 槍も槍聖が発露し、レベル20になりセカンドジョブが発露した。



 タニス

 レベル 19★

 ギフト 【草】 

 スキル

【鑑定 5】

【両手剣 10】★

【格闘術 10】★

【中級水魔法】★

 名前 タニス

 年齢 14歳

 職業 初級冒険者

 ジョブ 中級魔法使い

 

 何とか中級水魔法を覚えたが、剣と格闘を上げている。


 ハーニャ

 レベル 18★

 ギフト 【交渉者】 

 スキル

【真言 6】

【豪弓術 5】★

【格闘術 10】★

 名前 ハーニャ

 年齢 14歳

 職業 初級冒険者

 ジョブ 弓使い  


 弓を上げ、更に格闘も上げている。


 初期のスキル強化は基本的に物理攻撃能力を上げているが、これは魔物との戦いは基本的に物理攻撃で行い、魔法は数が多かったりここぞという場面で使う。


 これは魔力が底をついた時に強敵が来ると殺られるからで、基本的に魔法は節約する。

 だから魔法使いもある程度の近接戦闘能力を必要としている。


 3人共道中の勉強で初級魔法は使えるようになった。

 メイヤは水を先に覚え、適正のある火も初級を覚えた。

 メイヤは風に適正があり、ハーニャは土に適正があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る