《短編》ふしぎなお仕事《謎解き》
おむ
ゆあ じょぶ?
とある喫茶店で食事をしている2人組の女性の傍で、誰にも気付かれず仕事の愚痴をこぼす不思議な2人組がいた。
「おっつー、最近調子どう?」
「おつかれー、それがこの前大失敗しちゃってさ」
「なになに、めっちゃ面白そうやん!なにやからしたの?」
友人の失敗談に興味津々のリョウ子。
彼女達の職業は特殊で同業者も少なく同じ職種で働くマイは、リョウ子にとって愚痴を共感できる数少ない友人だった。
「それがさ、仕事中ガス抜きしようとしたらミスしちゃって、もう大パニックよ!一瞬何が起こったかわからなくて、理解した時にはもう手遅れで、どうしたら良いかわからなくてチビったわw」
大失敗した割に楽しげに語るマイ。マイも仕事の話を共感して話せる友人が居ないので、今日集まって話せるのを楽しみに会話のネタを何個も用意していた。
「あるあるのルノアールじゃん!あたしも同じミスしちゃってチビったわwそれ以来どんな時も気を抜かずに仕事してる。体調不良の時も…、ってか体調不良の時こそ気を引き締めてるw」
マイの失敗談に涙を浮かべ大爆笑するリョウ子。2人の不思議な会話はまだまだ続く。
「体調不良と言えば、先週ご主人様が体調を崩しちゃって早朝、深夜関係なく働かされたわ。」
と、さっきまで爆笑していたのが一転ため息混じりでリョウ子が愚痴をこぼす。
「リョウ子のとこシャワーなかったよね?そんなに働いて汚れてもシャワーでスッキリできないって地獄じゃん。うちのとこ最近シャワー完備されたんだけど、ほんとスッキリキレイになって最高よ。もうシャワーの無い職場には戻れないわ。」
「そうなのよ、シャワー付けてくれ!って言ったるのに仕事で汚れても拭いて終わりよ。シャワーで汚れ落とせるなんてマジ裏山の裏浦島太郎じゃん。」
「ほんと月とスッポンよね。あると無いじゃやる気がダンチ!けど、うちのとこシャワーあるけど節電だと言って夏場は冷水なの。ほんとケチだわ。」
話が弾み時間を忘れて話していると急にマイが、
「ごめん、ご主人様から仕事入ってきた!ちょっと行ってくるね。」
マイの急な呼び出しにリョウ子は「きばれよー。」とひとしきり愚痴を話せて満足気にマイを送り出した。
一方その頃喫茶店で食事をしていた2人組の1人が、
「ちょっと席を外すね」
と、小走りで温水シャワー完備の個室に入って行った。ご主人様は自動で開くフタを待ち、温まった座へ腰を落とした。
彼女達の話は主人達には聞こえていない。
こんど
うまれかわって
もういちどな
んておもわないわ
《短編》ふしぎなお仕事《謎解き》 おむ @kokugo2
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