(二)-8

 加えて鋭太は、何と言って返事をしたら良いのか、全く思いつかなかった。

 約五分ほどの向かい合った二人の沈黙の間、二人のそばを通り過ぎる生徒が数人いた。もちろん二人はエミの言葉から始まった特異な言語空間により外界とは隔離された空間バリアの中にいるかのように、それらの生徒を気に留めることはなかった。

 もちろん鋭太は「勇者ゲーム」の件も承知していた。とはいえ他人からまさか告白を受けるとは全く思ってもいなかったので、そもそもそんな行事については黙ってやり過ごそうと考えていた。


(続く)

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