(二)-5

 その相手は大貫エミといった。三つ編みのお下げに黒縁の眼鏡を掛けた大人しい性格の子で、図書委員をしていた。

 実は同じ小学校の出身で、そのときから茂原は彼女が好きであった。しかし、いかんせん話をする機会がなかった。同じ小学校から八百生学園に入り、中等部時代はもちろん、高等部に上がっても、二人が同じクラスになることはなかった。そのため、今までほとんど接点がなかった。

 それもあり、茂原はこの日図書室に向かい、本を借りるフリをしながらこっそりエミに告白をした。


(続く)

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