寂しさ気晴らし

雨沢白田ー

それでいて、暇つぶし

 真っ暗闇の中で、私は今輝いています。眩しくて、ずっとまぶたを開いてはいられません。ああ、目が痛くなる…でも、書かずにはいられません。


 耳に入るのは、何かを擦る音。指が差す音。身体は服の上から雨に晒された様に、凍りつく。心は誰にも通じず、誰にも打ち明けられず、孤独だけど重みどころか軽々しい。


 緩衝材かんしようざいが私の重みで次第に形を変えていく。番組は時間が経つ毎に尺が無くなり、いつの間にか次の番組が流れ着く。


「一日一日と日数を重ねて、いつかその日の秒数が一秒増える」


 嫌いな事から目を背けていた。苦手な事から逃げていた。社会からは、一歩も離れられない。


「嫌だな、嫌だな…でも、止まらないや。眠気も、抑えられはしないや…」


 それから、今日の朝は訪れた。橙色の球体が、日差しを尖らして始まりを知らせに来た。


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寂しさ気晴らし 雨沢白田ー @catphilia3156

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