39話 交錯する思い2-人と屏風は直には立たず-
約束の夏祭りの日、
「やっと
永遠はぐったりした様子で柊に伝えた。
「大丈夫?なんか疲れてるけど・・・」
「補講とトレーニングの両方をみっちりやってるからな」
「だから言ったじゃない・・・中間と期末で赤点5教科取ると補講で夏休みなくなるから気をつけてねって」
柊は
「トドメを刺しに行くなよ・・・」
「補講って確か8月12日までじゃない?夏休みの宿題大丈夫?」
柊の言葉に、永遠はぎくりと肩を震わせた。
「ただでさえ宿題の量が多いのに、任務につきながら2週間ちょっとで終わらせられる?」
「悪ぃけど答え写させて・・・」
「写したら意味ないじゃない。休み明けに宿題の範囲で復習テストあるでしょ?」
「そん時はまた考える」
「また補講にならないでよ・・・」
「分かってるって・・・あと、今日も
「当たり前じゃない。場所的に
柊は首元から首飾りを引き出した。首飾りには水晶が取り付けられている。
「ここに入ってんのか?」
永遠の言葉に柊が
「
「近距離型は生気を消費しやすいんだよな?」
「そう。怨霊に生気を吸い取られるのもある。近距離型は纏わせる生気の密度が武器の切れ味を左右するから、一撃に対する消耗が大きいの」
「え・・・そうなのか?!知らなかった・・・」
「永遠は感覚型だからね」
「芝山さんが、『柊は生気の量が多くない方じゃない』って言ってたような・・・」
「――”今の私”なら大丈夫」
心配する永遠に対して、柊は自信に満ちた様子で答えた。
「・・・成長期って意味で?」
「・・・違うけどその解釈で良いよ」と、柊は
「2人ともお待たせ!」
紺色の
「眞白、塾の夏期講習お疲れ様」
柊が眞白に声をかけた。
「ごめん、久しぶりに浴衣着たら苦戦しちゃって・・・あれ?2人は浴衣じゃないんだね」
「浴衣だと動きにくいから普段着だけど・・・」
そう言う柊は白いTシャツにショート丈のデニムパンツ、足元はスニーカーという動きやすい服装をしている。右腕には最近バレーボールでの愛用者が多いアームカバーを付けている。
「俺は補講だったから、そのまま制服で来た」
「永遠も大変だね・・・永遠に会うのは久しぶりだけど、しばらく見ないうちにまた身長伸びたね。もう柊より大きいんじゃない?」
眞白の言葉に、永遠と柊の2人は顔を見合わせた。
「そう言えばそうだな。最近バイトもすれ違いであんまり会ってないからわかんなかった」
「4月の時点では私の方が数cm高かったのに・・・」
柊はあからさまに嫌な顔をした。
「すげー嫌そうな顔するじゃんか」
「まぁ、成長期だからね。永遠、良かったね」
眞白は柊と永遠の仲裁に入った。
「それにしても・・・いつも夏祭りの時はみんな浴衣だったから、てっきり浴衣だと思ってたから服装指定しなかったな。まぁ仕方ないね。来年の楽しみにとっておくよ」
眞白は残念そうに呟いた。
「とりあえず3人揃ったことだし、行くか。眞白が一番身長高いし、目印になるから先頭歩けよ」
「目印って・・・良いよ、分かった」
眞白は苦笑しながらも、永遠の提案に応じて歩き出した。
「3年前に来た時ははぐれちゃったから、先にベンチを確保しようか。確か盆踊り会場に休息スペースが設置されているはずだよ」
「じゃあ、そこに行くか」
「それで良いと思う」と言いながら柊が頷いた。
「柊、先歩けよ」
「私一番後ろで良いけど」と柊は反論したものの、「柊は突然走り出すから一番後ろにする訳ねぇだろ。遠足の時だって、柊が急に森に向かって走り出したからこっちは驚いたんだぞ」と永遠は一刀両断した。参道には所狭しと屋台が並んでおり、進むのもなかなか苦労する状況だった。
「2人とも気をつけて」と、先頭の眞白が後ろを気にしながら声をかけた。
「あぁ、俺は大丈夫。柊も気をつけろよ」
永遠は気を遣ったが、柊本人は黙々と歩いている。
(え?なんで無視?俺、柊を怒らせるようなことなんかしたか?・・・いや、違う。これは、人が多い場所だから、怨霊がいないかどうか神経を張り巡らせてるのか。まぁ、夜の神社なんて何か出てもおかしくねぇしな・・・)
永遠は柊から反応を
「ベンチで並んでっていうのも久しぶりだね」と、眞白が嬉しそうに言った。
「仕方ねぇだろ。裏山のベンチは夏は暑すぎるしな」
「私と永遠が代わる代わる怪我してたしね」と、柊がぽつりと呟いた。
「柊、余計なこというなよ・・・!」
「そうは言っても事実じゃない」
永遠が制止したものの、柊は
――ブー・・・ブー・・・。
永遠と柊のスマートフォンがそれぞれ振動し、2人は内容を確認した。
【
永遠と柊は顔を見合わせた。
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