34話 闘う理由と譲れないもの3-鳴かぬ蛍が身を焦がす-
「は?夏祭り・・・?」
「ほら、3人で行ったつばめ
眞白はカバンからチラシを取り出すと、永遠に差し出した。
「なんでまた急に・・・」
「久しぶりに3人で夏祭りに行きたくなって。中1の時に行って以来行ってないでしょ」
「そりゃそうだけど・・・補講になったら行けないかも知れねぇし」
永遠は眞白の誘いにしどろもどろになりながら答えた。神官や
「補講は夜までやる訳じゃないでしょ」
眞白はスマートフォンの画面で
「そうは言ってもなぁ・・・バイトのシフト外せるか分からねぇし・・・」
「アルバイトの件なら、さっき
「は?眞白は
「澪さんが俺に気を使って席外してくれてさ、その時に自己紹介されたんだよ。アルバイトが一緒って言ってたから頼んでおいたんだ」
眞白は永遠に付け入らせない雰囲気で答えた。
「なんでそんなに準備万端なんだよ・・・」と、永遠は少し引きながら
「永遠は分かりやすいからね」
「・・・わーったよ。よほどの急用が起きねぇ限りは行くから」
「ありがとう。柊には俺から連絡しておくね」
「あぁ」
永遠の返事を確かめると、眞白は丸
「じゃあ、俺行くね。夏祭りの時に少し話したいことがあるからさ」
そう言って眞白は病室を出ていった。
(話したいことってなんだよ・・・
*
眞白は駅に向かいながら、スマートフォンを操作して画面を耳に当てた。
「――もしもし、柊?急にごめんね。今少し大丈夫かな?」
『・・・大丈夫だけど、どうしたの?急に電話なんて』
柊の困惑は電話越しでも眞白に伝わった。
「いや、LINEでも良かったんだけどさ、直接言いたくて」
『直接?』
「1ヶ月後のつばめヶ丘の夏祭り、永遠と3人で行かない?予定空けられそう?」
『たぶん空けられると思うけど、どうして急に?』
「ふふ、3人で行きたくなったんだって。2人揃って同じこと聞くんだから」
『もしかして、永遠に話すの?』
「話すというか伝えておこうかなって。永遠、自分で約束しちゃったから悩んじゃいそうでしょ。俺は別に言って欲しい訳じゃないからさ。少しでも長く2人と一緒に過ごしたいだけで」
『それは一体どういう意味・・・?』
柊は
「深い意味はないよ。とにかく柊は気を張る必要はないから。今まで通り、話せないことは話さなくて大丈夫だよ。少なくとも俺にはね」
『そう・・・分かった』
「じゃあまた学校で」
そう言って眞白は電話を切った。
*
夜も更けた市立駒葉公園。周囲では警察が慌ただしく動き回っている。怨霊浄化のために柊と澪が待機していると、スキップでもしそうな雰囲気で
「ども〜!二人ともお疲れ☆」
「・・・入江さん、そのテンション、もう少しどうにかなりませんか?」
現場に現れた入江に対して、柊がげんなりしながら言った。
「柊ちゃんは相変わらず手厳しいな〜。ほら、澪くんの緊張を和らげてあげようと思って?」
「入江さん、お気遣い頂きありがとうございます。でも、心配無用ですよ。
入江の顔を見ながら、澪は申し訳なさそうにしている。
「そうなの?それは頼もしいけど、ちょっと寂しい・・・」
「気を悪くされたらすみません」と澪が謝ったが、すかさず柊が「入江さんは頼られたい人なので重く受け止めなくて大丈夫ですよ」とフォローした。
ここで入江は「あっ」と言葉を漏らすと、何かを思い出したようでごそごそとし始めた。
「入江さん、どうしたんですか?」
リュックやポケットの中を確認しながら、焦る入江を澪が不思議そうに
「あったー!なかなか見つからないから失くしたかと思っちゃったよ!はい!芝山さんから預かった書類だよ〜☆」
「入江さんありがとうございます」と言いつつ、澪はファイルを受け取った。
「・・・書類?」
「はい。3年前の
柊が反応したので、澪はすかさず答えた。
「――そうですか」
「大丈夫です。柊さんを邪魔するつもりはありませんよ」
その言葉を聞くと、柊は
「柊さんはアルバイトをする理由として、探しものをしていると
「・・・はい」
柊は振り向いて警戒心を含みつつ答えた。
「――探していたのは太陽の
「・・・さぁ、どうでしょう?」
柊は澪をじっと見つつ
(この質問では揺れませんね。ではあちらを聞いてみましょうか・・・)
澪はかねてより気になっていた質問をしてみることにした。
「柊さん、どうして”
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