第41話 美少女、色々ありすぎて驚きまくる。

 カノエさんは、緊張でカチンコチンに固まったアタシの身体を、猫のようにニヨニヨとした笑顔でなでまわしている。


 そして、スカートの中に手を突っ込んで、おしりをモニュモニュとさわりはじめた。


「え? え!? えええ!!?」

「むふふ、よいではないか。よいではないか……」


 その時だ。


「アイスエッジ!」


 女性の人の声とともに、猛スピードの氷のつぶてがアタシの顔をかすめて、カメラにぶつかった。

 氷のつぶてが直撃したカメラは、「ジジジジ……」とショートして力なく落下する。


 アタシは声をした方を見る。そこには拳銃をグレーのストライプスーツの内ポケットにしまっている女性がいた。

 女性は、ツカツカと早歩きでアタシの方へ向かってくると、スーツの胸ポケットから流れるように名刺をとりだして、流れるような説明を始めた。


「わたくし、霜月しもつきカノエのマネージャーの癸生川けぶかわヒサメと申します。

 さっそくですが、霜月しもつきカノエのハラスメント行為、ならびに私のカメラの破損行為につきまして、示談のご提案を行いたいのです」

「え? え!? えええ!!?」


 女性はスーツのカバンから小切手を取り出すと、サラサラと金額を書き記す。


「この金額でどうか、此度の件を水に流していただけないでしょうか。

 またどうか他言無用でお願いしたく……」


「え? え!? えええ!!?」


 アタシは驚きの声をあげる。

 驚いた理由はみっつ。


 まずひとつめは、癸生川けぶかわさんの流れるようなまるで日常茶飯事といわんばかりの行動だ。

 つまりはカノエさんによる、女の子へのハラスメント行為が常習犯ってことだ。


 ふたつめは、癸生川けぶかわさんが提示してきた金額。

 カメラの弁償っていってたけど、提示額の桁が2つちがう。


 さいごにみっつめ、正直言ってしまうとこの驚きに比べれば、他のふたつはかわいいモノだ。

 なぜなら、癸生川けぶかわさんが、おじさんのガラケーに映った女性の人とうりふたつだったからだ。


 本当に、どういうこと……??

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