第19話 おじさん、美少女にAD失格と言われる。
「今から恐竜型を、おじさんの力を借りずにアタシひとりの『実力』で倒します!
1ヶ月間の修行の成果を見ていてください!!」
ロカはカメラに向かってにっこりと微笑むと、弾けるように意気揚々と恐竜型の群れへと飛び込んでいった。
「「ギャオオオオ!」」
群れは全部で3匹、1ヶ月前のロカならとてもじゃないが太刀打ちできない強敵だ。
しかし、今のロカの敵ではない。
突然の来客に警戒する恐竜型に対して、ロカの行動は素早かった。
緑色の『シェールストーン』をショートソードのカートリッジに入れると、ショートソードが緑色に輝いた。
ロカは、ショートソードを横凪に払う。
「ウインドカッター!」
ロカが叫ぶと共に、ショートソードから巨大なかまいたちが唸りをあげて放たれ、たちまち2匹の恐竜型の首を切断する。
致命傷を受けた恐竜型は、霧になってシェールストーンへと変化した。
ひとり対多数の戦いは、まず頭数を減らす。
ロカはそのセオリーをキッチリと守っていた。
「次、いくよ!!」
ロカは再び緑色の『シェールストーン』をショートソードのカートリッジに入れる。
「ギャオオオ!」
ロカは恐竜型の強靭な顎の攻撃を真横に飛んでひらりとかわすと、そのまま空中で身体をひねって恐竜型のバックをとる。そして、
「サンダーソード!!」
緑色に光るショートソードのエネルギーを雷に変えて、恐竜型の背中に押し付けた。
「ギャ……」
恐竜型は、なすすべもなく泡を吐いて失神する。
俺はそれを見計らって、黄色い『シェールストーン』を左手でパキンと割った。
「ごめんね。あなたに恨みはないんだけれど……」
そう言うと、ロカは俺の前まで来て『シェールストーン』から溢れ出す黄色いマナを吸い込んだ。
身体能力が向上したロカは、感電して無抵抗の恐竜型の下に潜り込み、顎にむかって思い切り肘鉄をくらわせると、つづけざまに胸、腹と肘鉄をくらわせていき、とどめの旋風脚で思い切り背中を蹴り飛ばした。
部分破壊の限りを尽くされた恐竜型は、大量の『シェールストーン』へと変わっていく。
「ま、ざっとこんなものかな?」
ロカは、カメラに向かってニッコリ微笑むと、戦闘の解説を始めた。
「武器を使った攻撃だと威力が高すぎて部位破壊ができないから、最後の一匹は緑の『シェールストーン』で感電させて、武器を使わず打撃で撃破しました!」
ロカは、視聴者に向かって部位破壊の説明をすると、俺に質問をする。
「おじさん、スマホにコメント来てる?」
「ああ。だがたくさんありすぎて、何に返事をすればいいのかわからん」
「もう、なにやってんのよ!! そんなんじゃAD失格だよ!」
ロカはプリプリと怒りながら、俺からスマホをひったくると、とびっきりのスマイルをつくって慣れた様子で視聴者のコメントに返事をはじめた。
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