元最強探索者のおじさん。美少女配信者を助けて大バズりしてしまった。

かなたろー

episode1

第1話 おじさん、仕事をクビになる。

田戸蔵たどくらさん、あんた、明日から仕事来なくていいから」


 午後5時、ダンジョン整備の仕事をしている俺は、仕事あがりに現場監督の逆村さかむらさんに呼び止められた。


「そ、そんな、突然ですか?」

「本社から人員削減を求められてさー。あんた、この現場で一番の年長者だろ、おっさんのなんて仕事の足手まといにしかなんねーしなw」

「……はい、わかりました」


 俺は、いそいそと自分の荷物をかたずけると、あらためて逆村さかむらさんのもとにいくと、ペコリと頭を下げた。


「今まで御世話になりました」


 逆村さかむらさんは、にへらにへらと、薄ら笑いを浮かべながら対応をしてくる。


「すみませんねーw なにせ本社からの要請なんでw これからどうするんですかw」

「ダンジョン探索者をやろうかと。一応、ライセンスを持っているんで」

「うはw その歳で探索者やるつもりですかw 田戸蔵さん、俺よりも10以上年上ですよねw 体動きます?w」

「まあ、死なない程度に頑張ります」


 俺が答えると、逆村さかむらさんはもごもごと俺に聞こえないくらいの声で、でもはっきりと「死ねばいいのに」とつぶやくと、はっと思い出した様に俺にむかって質問をしてきた。


「そうだ! せっかくだから、ダンジョン配信者やればいいんじゃないですか? おじさん配信者なんて物珍しいしw」


 ダンジョン配信者? 

 俺は聞きなれない言葉に首をかしげて逆村さかむらさんに質問をする。


「あの? ダンジョン配信者ってなんです?」

「うはw 田戸蔵さん、あんた、ダンジョン配信者もしらないの? そんなんで探索者なんてやっていけるんですか? ネットにいくらでも動画あがってますから参考に見ておくのをお勧めしますよww」

「はあ、ありがとうござます」


 俺は、薄ら笑いを浮かべ続ける逆村さかむらさんにペコリと頭を下げると、家路についた。

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