三傑の三角関係‼︎!

@anomaron

時代の変わり目は関係の変わり目

薩長同盟。坂本龍馬が仲介し西郷隆盛と木戸孝允(桂小五郎)が薩摩と長州を代表して手を結んだ。この出来事は歴史的意味を持つ一方でとある男にも大きな影響を与えていた。それが大久保利通である。

「大久保さーん。やけにそわそわしてどうしたんですか?落ち着いてないなんてらしくないですよ?」たまたま居合わせた男にそう言われるほど大久保は気を揉んでいた。

「今日、西郷さんが長州の桂とかいう男と会っているだろう?」なるべく感情を抑えて大久保が答えた。すると男も納得したように

「ああ、確かに西郷さんが長州の輩とあっているなんて心配ですよね。奴ら何考えてるかわからないし」と言った。大久保は素っ気なく肯定して会話を終わらせたが心配の理由はそこではない。

“西郷さんが男と二人きりで会っている!!!!”そのことが大久保をそわそわさせた。言わば大久保にとって西郷は初恋の人に近い。ご近所関係だった二人は幼少期からいつも一緒にいた。かのお由羅騒動で大久保の父が謹慎になった時も西郷はサツマイモなどの食糧を分けてくれた。“西郷さんは偉大な人じゃ”そう思った大久保が西郷を慕うようになるのも自然な成り行きである。ただ、あまりにもずっと近くにいたため、愛情が強くなりすぎた。今回のように西郷が別の男と会うというと大久保は決まって気をもんだ。もちろん、西郷本人に会わないでくれとは言えない。それとなく自分も一緒に行くと言ってみたが断られることもしばしばあった。今回もいつもと同じ、西郷が別の男と会っているのを大久保が心配するというお決まりの展開ではある。しかし、今現在西郷と会っている桂小五郎、後に木戸孝允となる男が大久保の一生涯の恋敵となることは、この時、まだ誰も知らない。

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