隣のパクり屋
ピチャ
隣のパクり屋
僕は隣席の男が嫌いだ。
なぜなら、僕の案を片っ端から盗んでいくからだ。
平凡な郊外で教員として働いている僕。教室では子どもたちを教え、職員室では雑務をこなす。忙しくも穏やかな日々を過ごしていたのだが、あいつが来てから生活が変わってしまった。
隣席の奴、彼は俺の敵だ。
僕は授業をありきたりなものにしないように、日々勉強になるようなゲームを考え出したり、図書館等に資料を探しに行ったりする。
その甲斐あってか、授業の評判はある程度良い。ありがたいことだ。
しかし事件があった。僕の作成した資料が、隣のクラスで使われていたというのだ。
生徒たちは素直に僕に日常のことを教えてくれる。資料を見せてもらった。
その一部に、僕の作成したものとまったく同じものが使われていた。
僕は隣のクラスの担当をしていない。故にその資料も僕が作ったものではない。他の先生と共有した覚えもない。
生徒であれば、隣のクラスのものを見ることもあるだろう。
しかし、僕の作成した資料を「そのまま流用した」資料が「配られる」ことはまずない。
話を聞くと、どうやら隣の担任がその資料を配ったらしい。そう、僕の隣席の男が。
こいつは僕の資料を勝手に使用しているパクり屋だ。
「お前もどこかから情報を仕入れている、俺もお前から情報を仕入れただけだし、それを利用しただけだ。どこに違いがある」
と、彼なら言うであろう。
そして僕ならこう返す。
「一部流用するなら出典元の併記が必要だし、内容がほぼ同じなら著作権がある。また、貴方は僕のパソコンから勝手にデータを取得した。僕のしていることとは明確に違う」
しかし、実際にはこのやり取りは起こらない。僕が自分の著作物を勝手に使われているという被害を証明しなければならないからだ。
そうでなければこの事件は「起こらなかった」ことになるのだ。
こうして僕は、証拠を集めることとなった。
隣の奴のせいで余計な手間が増えた。面倒だ。
隣のパクり屋 ピチャ @yuhanagiya
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