第9話霊媒師、和扇

翌日、黒田真由美は歌保の、言った通りに

心療内科に行った。

歌保は、化粧をして、ウィッグを付けて

変装して、木村家を訪ねた。


「こんにちは」


「は~い」


木村真保の祖母、佳子が出て来た。


「初めまして、私は霊媒師の和扇と申します」


「はい、霊媒師の方が家に何か?」


「いえ、今、仕事の移動中に、この家の前を

通りましたら、とんでもない悪霊が見えた物

ですから、最近、何か不幸はございません

でしたか?誰か亡くなったりとか」


「えっ!分かるんですか?」


「やはり、このままだと悪霊が、益々

蔓延りますね…」


「あの~どうすれば?」


孫の死で、心が弱って居る祖母の佳子は

すがる思いで、和扇に尋ねる。


「よろしければ、私が祈祷して、悪霊避けの

お札を、お渡し致しましょう!ただし私の

祈祷料は高いですが、大丈夫ですか?」


「はい!それで、悪霊が居なくなるなら

おいくらですか?」


「お札の料金も、含めて1000万頂きます

けど」


「1000万ですか?」


「はい、それで、あなた達の命が守られれば

安い物でしょう」


「待ってください!直ぐに下ろして来ます

から、嫁に行かせます!」


佳子は嫁の絵美に、事情を説明して銀行に

行かせた。


「じゃあ、お義母さん行って来ます」


「急いでね!」


「はい!」


「でも、家の前を通っただけで、凄いですね!」


「生まれもっての物なので、時には見えなくて、良い物迄、見えたりと、全国を廻ってます、ちなみに、身内の方にも、ご不幸が

有りましたね?」


「有りました!そんな事迄!」


「その家も、危ないですね」


「私の妹の子供の所です!祈祷料を払うので

祈祷と、お札を頂けませんか?」


「じゃあ2000万に、なりますけど」


「はい!直ぐに嫁に電話しますので、待って

頂けますか?」


「はい」


そして、佳子は嫁の絵美に電話する。

しばらくして、絵美が帰って来た。


「ただいま、戻りました!」


「お帰り、早くお渡しして!」


「はい!どうぞ」


「確かに、では祈祷を始めます」


歌保は調べた、祈祷を見よう見まねでする。

そして、お札を渡す。


「この、お札を南向きに、祭ってください」


「はい!おっしゃる通りに、あの~今度

お会いしたい時は?」


「二日後、こちらを廻りますので、立ち寄らせて頂きます」


「よろしいのですか?」


「私も、その後が気ににりますから、では

心清らかにお過ごしくださいませ」


「ありがとうございます!」


歌保は佳子から、絶対的な信用を

得た。

一種の洗脳を、する事を考えていた。




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