第7話終わらない復讐
「ただいま」
「歌保!」
充は歌保を抱き寄せた。
歌保は、全身震えていた。
「歌保、大丈夫か?」
「うん」
「コーヒー入れるから、座って」
「うん」
コーヒーを入れて、歌保に渡す充。
「ありがとう」
「歌保、終わったな!」
「ううん!まだよ!」
「えっ!」
「あの親達も、政界から引きずり降ろして
地べたを、はい回らせてやるわ!学校が
隠ぺいする様にしたのは、あいつらなんだから!」
「歌保、もう戻れ無いんだな?」
「うん」
「あの三人に、復讐して何か変わったか?」
「何も、でも愛奈を殺しておいて、今日も
あの三人は、何も無かった様に笑ってたん
だよ!あの親達だって、普通に暮らすんだよ
許せない!」
「分かった、最後迄、付き合うよ!」
「充さん…ありがとう」
「いや、歌保だけに、させてしまって
ごめん」
「ううん、充さんは、するって言ってくれた
のを、私が変えたんだから、警察来るかな?」
「家に居た事に、すればいいよ」
「うん、最後迄、言い通してね」
「うん」
翌日、新聞に三人の自殺が、載っていた。
遺書が有ったから、自殺と見なされた様だ。
その頃、愛奈の自殺と今回の自殺に、関わった、刑事柊悠里が
「権田さん、今回の自殺も、山田中学校
ですよ、数ヶ月前の自殺も、山田中学校
の、生徒じゃ無かったですか!」
「あ~そうだが、遺書が有るんだから、前の
生徒の背中を押して、殺してしまった後悔
からの自殺だろう?」
「筆跡鑑定は?」
「今してるよ」
「な~んか、腑に落ちないな~」
「柊さん、お茶でも飲むっすか?」
「気が利くね~早川は」
「早川、お前は、どうして柊だけなんだよ!
婿養子にでも行く気か!みんなに入れろ!」
「権田さんにも、入れるっすよ」
「権田さん、本当の所、どう思いますか?」
「う~ん、鑑識も言ってるけど、痕跡が
何も残って無いんだよな」
「防犯カメラは?」
「あのマンションには、設置されて無いんだよな」
「何それ!今時有るの?」
「もう古い、マンションだからな」
「もし殺人と考えて、怪しいのは最初の
自殺の子、確か高井さんが怪しいですよね!」
「でも、背中を押して殺したって、今日
新聞に出たんだから、無理が有るだろう?」
「そっか~」
「今日は、あの中学校も、亡くなった子の
親や祖父の議員さんも、大変だろうな」
「そうですよね!殺人犯に、なった訳です
から」
「いや、遺書には書いてるけど、殺人犯と
決め付ける、確固たる証拠が無いからな~
捜査するんだろうな」
「望む所ですね!」
「柊さん、お茶入ったっすよ」
「早川、お前はどうして柊が、先なんだよ!」
「それは、柊さんが可愛いからっすよ」
「早川の正直者が~」
呆れ果てる権田。
新聞を見た、美弥の母と美弥は、目を合わせたが、何も言葉にはしなかった。
二人は、この事を心の奥底に、しまう事にした。
現場に向かう、権田、柊、早川。
鑑識が残っていた。
「どうですか?何か不審な点は?」
「いや~無いですね、状況からすると、こう
手すりを掴んで、飛び降りた と考えられます、自然ですね」
「そうですか、遺留品とかは?」
「何も見付かりませんね」
「ふ~お手上げですね~」
「やっぱり、自殺が濃厚だな!」
「そうですね」
「そうなんすか?」
「早川、分からないなら黙ってろ!」
「はいっす!」
「現場周辺の、防犯カメラは?」
「あちこち、当たりましたが怪しい人物は
写って無いですね」
その頃、歌保と充は愛奈に、手を合わせて
報告していた。
「愛奈、もう少し待っててね、ママ達も
そっちに行くからね!」
「歌保?」
「充さん、全部の復讐が終わったら愛奈の所に行きましょう、やっぱり生きて行く意味が
見付からないの」
「歌保が、そう決めたなら、全部終わる迄
俺が歌保を守るから」
「ありがとう、何時も私達は、充さんに
守られてばかりだね」
「当たり前だろ!俺の大切な歌保と愛奈
だからな!」
「フフフ、優しいね、コーヒー入れようか」
「うん」
二人でコーヒーを飲んでいると充が
「歌保は、これから、どうするの?」
「今日、あの二人の議員が、辞職するか
どうか決まるでしょう!それから考えるわ」
「じゃあ、テレビ付けようか」
「そうだね」
ニュースでは三人の自殺が、大きく取り上げ
られていた。
遺書に書いていたが、殺人にするには証拠が
足りず、立証は難しいと言われていた。
(美弥ちゃんが言えば……ううん、もう
これ以上、美弥ちゃんは巻き込めない
立証出来なくても、いい!私は、まだ
やらないと)
歌保の様子を見て、何か感じた充は
「歌保、何かする前には、ちゃんと言って
欲しい、心配だから」
「うん、決まったら、ちゃんと話するからね
ありがとう」
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