第11話大会後の柊の出社

「おはようございます」


「お!柊やったな!」


「ありがとうございます、権田さんが練習に

付き合ってくれた、お陰です」


「あっ!柊さん、おはようっす!スッゴい

っすね!優勝おめでとうっす!」


「ありがとう、早川あんたは、ちゃんと

仕事してたの?」


「してたっすよ!ね?権田さん?」


「……」


「何で黙るんすか?」


「あ~もういいや!早川コーヒー入れて」


「はいっす!柊さん」


ルンルンでコーヒーの用意をする早川。


「早川~分かってるよな?」


「え?あ~権田さんもっすね?」


「お前は忘れてただろう?」


「そ、そんな事は無いっすよ」


「本当に、お前だけは!あの事柊に

言うぞ!」


「権田さん、許して下さいでございまする」


「早川どうしたの?」


「いや、何も無いっすよ、さぁコーヒー

コーヒー」


そして早川は権田と柊に、同じタイミングで

コーヒーを渡した。


「よし!」


そんな早川を権田と柊は、微笑みながら

見ていた。

そして書類に、目を通す三人。

すると朝から電話がなり、権田が出る。


「了解です」


その時点で用意をする柊。

早川は相変わらず、モタモタしていた。


「事件だ!行くぞ!」


「はい」


「はいっす」


「今日は朝から何ですか?」


「痴漢だそうだ、鉄道警察が犯人と思われる男と被害者の女性を連れて行き、事情を

聞いてるんだが、今一おかしいらしいから

応援要請が来たんだ」


「痴漢ですか?」


「痴漢は駄目っすね」


駅に着いた三人は、鉄道警察の所に行った。


「港署の権田です」


「柊です」


「早川っす」


「ご苦労様です!よろしくお願いします」


「じゃあ俺と早川は、男性から話を聞く

から柊、女性を頼む」


「はい」


そして権田は痴漢と言われた男性から

話を聞く。


「僕はしてないです!あの女が難癖付けて

お金を巻き上げ様としたんですよ!」


「お金を?」


「はい!ちゃんと言ったんですから黙ってて

欲しかったら金を出せって、だから僕は

何もして無いのにって言ったら、痴漢て

騒ぎ出して、とんだ迷惑ですよ!」


「う~ん」


腕組みをして考える権田。

その横で考える振りをする早川。

その頃、柊は女性と話をして色々聞いて

いた。


「じゃあ、身体をピッタリくっつけて

触って来たんですね?」


「はい」


しかし彼女の目が、游いでるのを柊は

見逃さなかった。


「失礼ですけど、あなた身長は何センチ?」


「私ですか?154センチですけど」


「そう?嫌な思いしたわね、少し待っててね」


そう言って柊は、権田の所に行った。

そして痴漢と言われた男性を見て


「あの~すみませんけど、あなた身長

何センチ?」


「僕ですか?何か関係が有るんですか?」


「非常に重要です」


「僕は185センチ有りますけど」


「じゃあ立って見てください」


柊は身長が160センチだった。

柊は彼を、自分の後ろに立たせて手の

位地を確認した。

その間、権田も早川も黙って見ていた。


(お尻迄、届かない、私より6センチも

低い彼女に、身体をくっつけて触るのは

無理だわ!


柊は、その事を権田、早川に告げる。


「じゃあ、やっぱりお金目当てか」


「お金?」


「あ~彼女が、お金を出したら黙るって

言ったそうだ、だが彼には身に覚えが

無いから出さないと言ったら、痴漢と

騒ぎ出したそうだ」


「らしいっす」


「ちょっと彼女を、厳しく取り調べ

ましょうか?」


「そうだな」


「そうっすね」


「君、すまないがもう少し、待ってて

貰えますか?」


「はい」


男性は何の抵抗もせずに、じっと座って

いた。

鉄道警察の警官が、一人着いていた。

権田、柊、早川は女性の所に行った。


「あのね、さっきの話だと、身体を

ピッタリくっつけて、触ったって言って

たよね?」


「は、はい」


「う~ん、それは無理なんだよね?」


「どうして、どうしてそんな事が分かる

んですか?」


「あなたが痴漢と言った、男性は身長が

185センチ有るのよ、私は160センチ後ろに

立って貰ったけど、届かないのよ、手が

私より6センチ低い、あなたのお尻を

身体をくっつけて、触るなんて不可能

なのよね!分かる?」


「……」


「黙ってても駄目よ!あなたは彼に

お金を要求したでしょう?」


「はい」


消え入る様な声で、返事をしてうつ向く

女性。


「最初から、お金目当てで、でっち上げ

たの?」


「……」


「ちゃんと答え無いと、帰れ無いよ!」


「はい、お金目当てでした」


「何で、そんな事を」


「遊ぶお金が欲しくて」


「あなた、たった何万円かの、お金で

人生を棒に振ったよ!もし、これが

嘘だってバレなかったら、相手の男性の

人生も一生、棒に振る所だったんだよ!

自分のした事が、どんなに酷い事か

ちゃんと考えなさい!今回は何も

無しでは終わらないから!親にも

連絡するから」


「ごめんなさい!それだけは辞めて

ください!」


「そうも行かないのよ!まだ未遂だから

書類送検になるわね!」


肩を落として、泣き崩れる女性を見て柊は


(可哀想だけど、した事は許せない悪質な

事だから、しょうがない)


そして三人は、男性の元に行き


「あなたの無実が、証明されました

災難でしたね、今後もし証言が必要な

時は、お願い出来ますか?」


「ありがとうございます、はい証言が

必要な時は、何時でも!」


男性は帰って行った。

それを見送る三人。


「柊、良く気づいたな!」


「本当っすよ!柊さんはスゴイッす」


「まぁ、冤罪が起きなかったから

やれやれですよ、署に戻りましょう」


権田は、何時も事件解決に前向きな

柊が眩しく見えた。



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