第8話オレオレ詐欺③

「ただいま戻りました」

(と、誰も居ないか、取り調べだからな

上手く行ってるかな?)


様子を見に行く私、すると早川がいた。


「早川、どう?」


「全然、口を割らないんで困ってるっす!」


「権田さん相手に、割らないと厳しいね」


「そう!僕に何か、名前すら言わないっすよ!」


「ひょっとして、早川あんたが、取り調べを

してたの?」


「そうっすよ!」


「あ~そう~じゃあ大丈夫ね」


「何がっすか?」


(早川に取り調べは、まだ無理ですよ

権田さん、まぁ分かって、させたん

でしょうけどね)


「いや、こっちの話、あっほら!喋り出し

たよ!」


「嘘っす!さっき迄、一言も喋らなかった

っすよ!」


「権田さんだよ?喋るよ!」


「悔しいっす!僕は犯人に迄、バカに

されて!」


「私達はバカにしてないよ!早川の良い所を

沢山、知ってるからね」


「本当っすか?嬉しいっす!」


(本当に単純で、可愛いいよ!)


取り調べ室から、権田さんが出て来た。


「お疲れ様です」


「お~口を割ったぞ!仲間を押さえに行くぞ!」


「はい!」


「はい!」


「他の班も合流して、乗り込むから奴が

言う通りだと、10人位が潜伏しているみたいだ!何を持っているか分からないから

気を付けろよ!」


「はい!」


「はい!」


現場に着いて、他の班と合同で乗り込んだ。

言っていた通りに10人位の、若い子達が

いた。

逃げる者、向かって来る者、みんな構わずに

取り押さえた。

署に連行される10人の若者達に、悪いとか

反省の態度は、全然見られなかった。


(こういう子達が、大人になると、この国は

どうなって行くんだろう?そもそも悪に

手を染める、キッカケは何?)


私は考えたが、分からなかった、分かったのは、こういう子達が世の中には、まだまだ

沢山居るという事だけだった。


「権田さん、何か切ないですね」


「あ~本当だな!あいつらも最初から悪じゃ

無かった筈だからな!でも、あの態度を

見ると切ないな」


「僕、マジメで良かったっす!」


「早川、あんた反抗期は?」


「無いっすよ」


「だろうな」


「じゃあ、親に怒られた事は?」


「無いっすよ」


「まぁ~それは、お前が分かって無いだけで

親は怒ってたかもな」


「マジっすか?今日、帰ったら聞いて見るっす!」


「え?」


「うん?」


「え?どうしたんすか?」


「あんた、まさか、まだ親と一緒に暮らし

てんの?」


「はい!独り暮らしすらって言ったら、親が

寂しがるんすよ」


「いい事だ」


「本当にいい事、あんたが出来る、唯一の

親孝行かもね」


「何すか?それは~~~!」


「ハハハ」


「ハハハ」

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