第3話筋肉痛と酔っぱらい

翌日


「おはようございます」


「おはよう」


「権田さん、早川は?」


「居るよ、あそこに」


指差す方を見ると、ソファーに横になって

いる早川の姿。


「早川おはよう」


「柊さん、おはようっす」


「あんた何を寝てんの?仕事だよ」


「柊さん、筋肉痛で動けないっすよ」


「あれだけで?」


「あれだけって、沢山したっすよ」


「権田さん、早川は現場には不向きです

事務職に移動させましょう」


「それは、いいかもな」


「嫌っすよ」


「何で?何も出来ないのに」


「出来る様になるっすよ!武道以外で」


「なんじゃそれ!」


そして電話が鳴った。


「おい、行くぞ!」


「はい!」


「はい!今日は?」


「酔っぱらいのケンカだよ」


「え?朝から元気ですね~早川は酔っぱらい

にも負けてるね」


「そんな事は無いっす」


「さぁ、早く行くぞ!」


「はい!」


「はい!」


現場に着くと、もう良いお年の2人が

泥酔状態でケンカをしていた。


「近くの巡査が来てるが、駄目みたいで

応援要請が来たんだ」


「すみません」


謝る巡査。


「ふ~じゃあ、私が行ってきます」


「お~」


「ハイハイ、2人共どうしたんですか?」


「お?お姉ちゃん、べっぴんさんやな~」


「一緒に、飲もうぜ」


「今、仕事中だから無理ですね~」


「そんな固い事を言わんと」


「本当に飲むのは無理ですね、で、どうして

ケンカしてるんですか?」


私は2人の間に入って、話を聞いた。


「こいつが俺が頼んだビールを、先に取った

から」


「俺だって、ちゃんと注文したんだよ」


カウンターを見ると、ビールが2杯有った。


「ここに、ちゃんと2人分有るじゃ無い

ですか、ケンカして無いで飲まないと!」


「お?本当だ」


「有るな~」


「じゃあ、仲直りの乾杯でもしたら?」


「お~乾杯」


「乾杯~」


「もう、ケンカしたら駄目だよ、それに

飲み過ぎもね!」


「お~お姉ちゃん、今度は一緒に飲もうぜ」


「俺がおごるよ」


「いや、俺が」


「ほら、又、始まった!そんなにケンカする

なら、2度とここに来ないよ!」


「あっ!ケンカはしません」


「しません、な?」


「うん、うん」


「よろしい、じゃあ又ね」


「お姉ちゃん又な~」


「又、来てくれよ~」


「うん、じゃあ又ね」


みんなの所に戻ると


「権田さん、終了しました」


「ご苦労さん」


「柊さん、モテまくりっすね」


「あんたは何を、トンチンカンな事を

言ってんのよ、相手は酔っぱらいだよ?

寝て起きたら、私の事なんか忘れてるよ」


「そっすかね?」


「さぁ、署に戻るぞ!」


「はい!」


「はい!署に戻ったら僕、柊さんに

コーヒー入れるっす」


「早川~~~~~!」


「すみません、権田さんにも入れるっす」


「よ~し」


「ハハハ」


「ハハハ」


「ハハハ」


本当に仲の良い、気の許せる仲間だった。


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