語る女
「浮気っていうけどさ。いい男がいたら乗り換えるのが普通じゃない?」
「ちゃんと別れたほうがいいとは思うよ」
「付き合ってからわかる事も多いじゃん。実は隠れオタだったりシスコンだったり」
「うん。普通は話さないからね」
「で、別れて次の男探し始めたら尻軽って言われる。解せぬ」
「そうだね。それはまあ…失礼だよね」
「結婚してる男には手を出さないよ。何だっけ?不敬罪?」
「不貞罪ね」
「そう。それがあるからさ。いろいろ問題があって面倒だからダメ」
「面倒だからダメ…じゃなくて、民事だけど罪だからね」
「でも付き合ってるだけの男ならいいじゃん。唾つけてあるだけでしょ?」
「まあ…口約束…かな?」
「浮気なんて人の口つけてるジュース飲むようなもんでしょ」
「軽いね…ちなみにジュースも嫌がる人は多いからね」
「それに彼女持ちの男と寝たら彼女と姉妹になれるって言うじゃん。凄くね?」
「…世紀末ばりにドロドロした姉妹だよ」
「はぁ…どこかに金持ちで格好良くて優しい男落ちてないかな…」
「落ちてても貴女と同じ考えの人がすぐ拾うから…」
「やっぱり独身中年とか狙い目だと思うのよ」
「まあ…悪くないかもね」
「簡単に食えそうだし」
「………」
「金貯め込んでそう」
「………」
「女慣れしてないだろうから優しそう」
「そうだね…」
「あれ?冗談だったけど中年最高じゃね?」
「好きにして」
「中年とどうやったら付き合えるかな?」
「縁は作りにくそうだね」
「あ、パパ活とか援交とか?」
「せめて婚活」
「ああ、それいいね。ちょっと登録してみる」
「ちょっとは悩もうよ」
「ん~…50までならOK」
「30歳差は大きいよ?」
「イケオジとかロマンスグレーとかなんか渋くて好み」
「そう」
「大学の教員とかもなかなか狙い目?」
「やめて。講義が潰れたら困る」
「婚活は時間かかりそうだし…」
「…ねえ……彼氏は?」
「………別れた」
「…………また浮気されたの?」
「…………うん」
「だから浮気を理解しようとしたんだね」
「私が固すぎるのが悪かったかもって…」
「飲もう」
「……ありがと」
後に彼女は婚活で知り合った40代の男性と結婚した。周囲の予想を裏切って末永く仲良く暮らしましたとさ。
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