225 そんな趣味ありませんよ!

【アル、ふつうのところのほうがすくないってじかくしないと~。かのじょさんだってにたようなもんだし】


「そう言われてもさ。…あ、そうそう、大人のルトベナール君には大人のお店に行きたい時もあるだろうから、週一回、好きな街に…」


「いやいや、何言ってるんですか。そんな気遣いいりませんって」


【?どういったいみ?】


「デュークにはまだ早いお話。でも、子供たちと一緒に街に行くんじゃ、彼女も出来ねぇんじゃね?せっかく安定した収入は約束されてるのに」


「おれは平民にもなりきれてないどっちつかずなんで、期待してませんよ。それに、オーナーのおかげで身なりが良過ぎるので、寄って来るのは金目当てでしょうし」


「あーまぁ、そうかも。街に出す前にどこにでもあるような服を入手しよう。…子供たち、嫌がりそうだけど」


「着心地よくて軽くて温かいですしね。おれももう今更、と思いますし」


「見える所だけでもっていうのも何か。じゃ、いずれ大人の女性従業員も入れるから、仕事に影響出ないよう職場恋愛は好きにしてくれ。子供たちには手を出さねぇように」


「そんな趣味ありませんよ!」


「子供ってのはすぐ大きくなるんだぞ。しっかりと栄養摂って色々学んで努力した子たちが魅力的にならねぇ方がおかしいからな?合意でどちらも成人してるのなら問題ねぇけど」


「何だか経験者のような発言ですね。実はお子さんがいたりします?」


「いねぇって。妹や甥っ子や友達の子がいるからさ。アッという間に大きくなる実感はたっぷりと。デュークだってグリフォンとしてはまだ赤ん坊だって、先輩グリフォンが話してたんだけど…」


【そこまでちいさくないのに~】


「デュークももう四ヶ月過ぎで五ヶ月近いしな。ウチ来てもう一ヶ月半。幼児ぐらいかな?」


【もうちょっとうえだとおもう~。かんたんなりょうりならつくれるようになったし!】


「子供のお手伝いレベルだけどな。おれら基準だと」


「どれだけ高いんですか、その基準…」


「おれらの故郷が食、文化、教育、技術レベルが高かったんだよ。安定して簡単に料理出来るよう調理家電…調理魔道具もたくさんあったしな。おれらっていうのは店員ABも同郷だから」


「そうなんですか。Bさんはオーナーの親族や親戚だったりします?たまに仕草が似てるんですが」


「よく言われるんだよな、それ。本人たちの自覚はねぇんだけど」


 まぁ、同一人物なのでそりゃそうだ、なのだが、同郷だと予防線を張っておいても多少の効果しかなさそうだ。


 軽いおやつ休憩も終わると、15階の転移魔法陣まで引き返し、ルトべナールはそこからダンジョン外へ出て冒険者ギルドへ。

 アルとデュークは55階へと転移魔法陣で転移した。


 ステータス閲覧イヤーカフの『ステカ』に通信機能を付けたものをルトベナールに渡してあるので、いつでも連絡が出来るし、転移ポイントが仕込んであるので転移も問題なかった。


 ちなみに、ルトベナールにマジックバッグは渡していない。

 自力でゲットするぐらい実力がないと奪われ兼ねないので、それなりにレベルを上げたら、フォボスダンジョンに連れて行くつもりである。

 Cランク冒険者以上という規定がある中級以上ダンジョンなので、マジックアイテムもたくさんドロップし、小さいマジックバッグ「ガルーポケット」がよくドロップするのだ。


 ******


 55、56階の峡谷はどんな所かデュークに見せるために、隠蔽騎竜で大半は通り過ぎ、たまにアルが魔道具拳銃の射撃訓練ついでに何十匹か狩り、57階荒野フロアだ。


 バイクを出して地面を走る。デュークはリアシートだ。

 アルは大量の風の刃を出して無駄なく倒し、ドロップを回収して行く。

 デュークは遠距離練習で魔道具ライフルを使い、たびたびバイクでドロップを拾いに行く。アルが見てない時は位置が分かり難いので、風魔法では見えないので無理なのだ。

 【魔眼の眼鏡】の千里眼を使えば【空間転移】で引き寄せるのは可能だが、さっさと拾いに行った方が早い。


 金や鉱石のインゴットが多くなり、宝石も質のいい大粒の物が出る。

 アルの納品依頼のミスリルもそこそこ出たが、アル個人で使うのにたくさん欲しいのでたっぷり狩って行った。


 一応、デュークが狩ったドロップは別にしている。ルトベナールと一緒の時は、細かいドロップばかりなのでルトべナールに全部あげた。


 満足するまで狩ると、もうお昼過ぎ。

 ルトべナールは冒険者ギルド内の食堂で食べるそうなので、アルたちは荒野の適当な場所に結界を張り、その中で鍋にした。

 ダンジョン内は全然寒くないが、外は寒いので何となく鍋気分だったのである。


 しゃぶしゃぶ鍋にし、豚と牛と羊の薄切り肉をしゃぶしゃぶとお湯にくぐらせて火を通し、ゴマダレ、ポン酢ダレとその時々の好みで付けて食べた。

 野菜もたっぷりで、ご飯茶碗を片手に、である。


【またおいしいたべかただねぇ】


「豚と羊はよく火を通せよ。生煮えだと腹痛くなるぞ」


【はーい】


 肉がいいので、多少火を通し過ぎた所で固くはならない。


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