ノダの会
芦舞 魅花
プロローグ 『ノ田と野田と乃立』
「初めまして。ノ田涙優です。涙に優しいって書いてるいゆって読みます。
変な名前だよねあはは~。なので呼ぶときはノダって呼んでほしいです」
小学校の時からクラス替えだったり進学だったりで自己紹介をしなきゃいけない時、
絶対にこのテンプレートを活用してきた。
そうやってみんな私をノダちゃんと呼んでくれていた。
しかし、高校ではそううまくいかなかった。
なんでかって?
クラスにあと二人も「のだ」がいたからだ。
「私も野田なの!だから、るいゆって呼んでもいい?」
1人は陽キャの野田あかり。クラスの中心人物。
「へ~。変わった漢字ののださんって私以外にもいたんだ…てことでよろしく。
るいゆ」
もう1人は自由気ままでさぼり気味の乃立礼。こいつも、のだ。
名前がコンプレックスな私からしたら、この高校の始まり方は苦痛でしかない。
はやく三年経たねぇかな…。
なんて、あの時は思ってた。
でも今は、こんな高校生活もありなんじゃないかなって思い始めている。
「るいゆが好きって言ってたドラマ見たよ。あの、ド深夜にやってる…なんだっけ」
「え、激安!スーパーマーケット刑事?」
「あー…それ。でね?…なにがおもろいんかなーって思った」
「は?いや、おもろいだろ。だってスーパーで買い物しながら解決しちゃうんだよ?」
「いやわからんわからん。買い物しながら解決ってどこに魅力を感じてんの」
「おはよ~…」
「あ、礼おはよ。また一時間目さぼって」
「んえ?しょうがないじゃん…。朝苦手なんだって~」
「古文の先生言ってたよ。のだに会ってみたいんだけどなーって」
「いやいやぁ…のだはもう二匹いるんだからお腹いっぱいでしょ~」
「そうゆうことじゃなくてね?」
私たちのだは、縦に三席並んでいるから必然的に喋るようになっていた。
最初は私とあかりの2人で喋るけど、2時間目の頭から来る礼を迎えてわいわいがやがや毎日いろんな話を話す。
趣味が同じってわけじゃないけど、なにかと温度感は合う。
のだ同士だからかな?…いや、冗談だって。
「ノダの会、今日も楽しそうじゃん」
ノダの会。これは周りのクラスメイト達がつけた3人の呼称。
私たちもこれを気に入ってLINEのグループ名にしている。
【ノ田涙優】
こんな目立つ名前、奇抜なフルネーム。私はこれが大っ嫌いだった。
でも今は、そんなことあんまり考えてないかも。
毎日自分のペースで、2人のノダと、ゆるい青春を送っているからかな?
「そういえばのだちゃん職員室呼ばれてたよー!」
「「「どののだ」」」
「いいハモリだね。礼ちゃんに決まってるでしょ」
「げっ…さすがに呼ばれたか…」
これは、ノ田が、野田と乃立に出会って始まるお話。
ノダの会 芦舞 魅花 @allegro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ノダの会の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます