第139話 UMAのニンゲンって怖いよね。

みなさんは、知らない店でもカフェでも一人で入れる人ですか?

わたしは、かつやとか、吉野家とか、ケンタッキーフライドチキンにすら一人で入店したことがありません。

ましてや、おしゃれなパンケーキ、カップケーキ、ハンバーガーを出す店なんて敷居が高い。

さらにいえば指定の時間に予約を入れて東京・表参道とかでやっていた漫画のコラボカフェなんて狂気の沙汰です。

だれか、友達になって自分と一緒に来店してくれ。頑張って予約も勉強するから。

そんなわたしにも、ひとり、たった一人の友達がいました。

彼女は都心でうつ病でも十年近い経験を活かし、自活しています。そんな彼女とは、統合失調症になったわたしが意味不明なLINEを送ったり、彼女が大変努力しているらしかったときに声優のイベントに誘ってしまって物凄く叱られたりで、一度は疎遠になりましたが。

なんせ、しつこいわたしです。

インスタで連絡を取ってしまいました。

家族以外で情報共有できる人、今のわたしにはいない。寂しいというよりは、「自分は寂しい、無知な奴だ」と判定する度にメッセージを送ってお世話になっていました。

なぜなら、自身の中の「世渡り」の糸を増やしたかったから。

しかし、彼女も忙しい。返事が返ってくるかは賭けみたいなものです。

そんな彼女のインスタにはソファが写っていました。わたしは一人暮らしの時家具なんて邪魔になる、とどこで買ったのかも忘れた低反発クッションを敷いてインスタント味噌汁を飲んでいたなあ、と思います。

あとは、ニトリのお布団。折りたたみ式の机二つ。これだけ。

実家かもしれない。でも、借りてるお部屋に備えた家具かもしれない。

彼女とわたしでは圧倒的に違う。

たとえば、喪女のわたしは外泊をしたことがありません。

しかし、仕事で忙しかった彼女は

(今日は帰るの大変だな、電車で帰る元気ないな)

と思ったら都心なのか中間の駅の街なのか、カプセルホテルに泊まったりするそうです!

電車に乗れない自分には驚きの連続でした。

彼女はおしゃれ。ちゃんと生きてる。経験値は雲泥の差。

わたしは安い服にズボラなスキンケア。眉だって満足に剃れません。

彼女にとって、役立てるアイディアも彼女と自分の好みを優先した計画も立てられません。

きっと、都心のどこかで、彼女は相応しい人達と共に。

毎日を心を亡くす方ではない、充実した忙しさと癒しで生きている。

そんな彼女は少し前までペットをお迎えする為に努力しているのだ言っていました。

一人暮らしの上にペットのお世話まで。

そして、どういう事情か彼女にペットがやってきました。わたしはそのペットとどう過ごしているか、うちの猫は感染症にかかり大変なことをインスタでメールしました。

返事はありません。

何かの折に、メッセージを送ると粘着しているように連投になってしまいますから気をつけています。

やっぱり「有益」になれない。

けして、周りの人みんなが損得で誰かと繋がっているとは考えません。

でも、運転が苦手な自分は誰かを自信を持って乗せられない、市内もろくに道がわからない。お金も稼げない。「十一万、十二万でもいいじゃない。働けてるんだから」そんな言葉をくれたのは彼女です。

しかし、定期的に病気で動けなくなる様子、入浴が困難。自分でもよくわかっていない。

体臭が鼻についても、汗だくになっても、入れないのです。

綺麗な経験豊富な、彼女のことを思い出します。

間違っても、うちの猫家出しちゃった、とか子供っぽいような、かまってちゃんではないけれど、大人で忙しいバリキャリな彼女には送っては駄目なのです。

彼女の今、部屋から見ている景色をわたしも見たい。

どんなところだろう。

マンションで、ベランダがあったりするのかな。ペットとソファでくつろいだりするのかな。

いつか結婚する時は報せだけでもくれるといいな。

わたし脱毛してないし、ドレスどこで買ったらいいかわからないし、白は着てかないし、髪を下ろすのもマナー違反らしいのも知っているけど、招待状とかもらえなさそうだし。

でも、わたしが子孫残せない分幸せになっくれ、マジで。強めに。

と、期待を懸けている。

これからやることがうまくいったら、遊んでくれないかな。無理だなあ。わたしダサい服しか持ってないから。

だから、「止水ちゃんと好みは違うから」ってやんわり言われちゃうんだ。

お薬で体重二十キロも増えないで欲しかった。

でも、病気の症状は辛い。

わたしだって毛とかなかったらみんなみたいなワンピースが着たい。

Twitterに、不安を書き出すとパフォーマンスが違ってくるって書いてあるけど、やっぱり紙とペンじゃなきゃダメか。どんどん暗くなる一方だ。

……今読んでいる「君たちはどう生きるか」。いいこと書いてあるのに内容が頭に入らなくて、入って、「ハッ」とした文章があっても、立派な人間になろう、人間らしくあろう、という項目が虚しい。

辛くはない。空い。

返信のない彼女は人間で、連投するわたしはニンゲンじゃないみたいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る