第8話 頭に「く」のつく映画といえば?
親の再婚により、義理の姉や妹ができて、血の繋がっていない異性とひとつ屋根の下、ドキドキの同居生活!なんてシチュエーションは、昔からよくあるラブコメの定番ですね。主にエッチな少年マンガで。
今回紹介する映画は、もうちょっとエロティックで、スリリング。
頭に「く」のつく映画、「クルーエル・インテンションズ」を紹介します。
原題は「CRUEL INTENSIONS」。「残酷な企み」といった意味でしょうか。
1999年のアメリカ映画。監督・脚本はロジャー・カンブル、出演はサラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、リース・ウィザースプーン、セルマ・ブレアほか。
あらすじはこんな感じ。
両親の結婚で、義理の姉と弟になってしまった、女子高生のキャスリンと、男子高校生のセバスチャン。
キャスリンはオトナな色気を漂わせる小悪魔系女子。でも、気に食わない相手には、裏で手を回してイジメ抜くような、性格の悪いところがあります。
イケメンなセバスチャンはプレイボーイでモテモテ。自信満々で、口説けば落とせない女なんてこの世にいないと思っています。
しかもこのふたり、家は豪邸で、お金持ち。セバスチャンなんて高校生のくせに高級車を乗り回してます。
誰もが羨む、美男美女の義理の姉弟。
セバスチャンは禁断の関係に踏み出します。義理の姉であるキャスリンの美貌を前に、口説き、関係を持とうとしてくるのです。
もちろん、キャスリンはつっぱねます。
そして……ゲーム感覚で、ある賭けを持ち出しました。
それは、キャスリンが指定した、カタブツの女の子を口説いて、セバスチャンが関係を持つことが出来るかどうか、というゲーム。
高校で生徒会長を務めているキャスリンは、学園長の娘でマジメすぎる女子・アネットと敵対していました。
嫌いなアネットに恋をさせ、徹底的にフッてやることで、幸せの絶頂から不幸のどん底に突き落とす。その絶望する姿が見たいわけです。
ホンマ性格悪いわー。
「プレイボーイのアナタなら、アネットくらい簡単に落とせるでしょ? もし成功したら、私のカラダを好きにしていいわ……」
大人っぽい小悪魔系女子高生から「私のカラダを好きにしていいわ」発言が出ました! うおおー!
当然、セバスチャンはこの賭けに乗ります。
「多分負けないだろうけど、もし負けたら僕が持っている高級車をキャスリンにあげるよ」とまで言います。自信たっぷり。
ですが、セバスチャンはアネットに接するうち、純粋な彼女に、本気で惚れてしまいました。
アネットの方も、セバスチャンに恋心を抱き、ふたりは相思相愛のカップルとなるのです。
「……賭けは僕の負けでいい。車も渡すよ。ただし、アネットの幸せを邪魔するのは、もうやめてほしい」
アネットから、キャスリンがこれまでしてきた悪さを聞いたセバスチャンはすっかり改心し、ゲームを降りることを表明します。
ところが! そんな風に言われて、性格の悪いキャスリンが引き下がるはずがありません。
アネットに、今回の“ゲーム”の件を全部バラしちゃいます。
「セバスチャンは元々、私との賭けで、アンタに声をかけただけなの! はっ、馬鹿じゃないの? そんなプレイボーイにマジになってどうすんの」
キャスリン、美人じゃなかったら、トモダチひとりもできないタイプだぞ……。
最初は動揺し、セバスチャンと別れるアネットでしたが、真摯なセバスチャンは彼女を引き止めます。
セバスチャンの説得に、ヒビ割れたふたりの仲もすっかり修復。むしろアツアツです。
さてキャスリン、ますます我慢ができません。次の手は、友人・セシルの家に出入りしていた家庭教師・ロナルドを、カラダを使って誘惑。
篭絡して手駒にしたロナルドを操って、セバスチャンを襲撃させるのです! この女、ホンマ最悪やー!
邪悪な義姉に邪魔されたくない義弟のバトル! さあ、どうなるのか……といったスリリングな駆け引きのエッチなサスペンスです。
なんと、原作は18世紀にフランスで発表されたピエール・ショデルロ・ド・ラクロの「危険な関係」という古典小説で、舞台を現代のアメリカに移し、登場人物たちをティーンエイジャーに置き換えてアレンジしたものだそうですよ。
ちなみに、続編の「クルーエル・インテンションズ2」「クルーエル・インテンションズ3」もあります。
キャストを入れ替えて、キャスリンとセバスチャンがまだ出会っていない前日譚を描く「2」、キャスリンの死後の後日談を描く「3」。
うーん、「1」がやっぱり一番いいかな。
主演のサラ・ミシェル・ゲラーとライアン・フィリップといえば、謎の殺人鬼にティーンズが次々と殺されるホラー映画「ラストサマー」(1997年)で恋人同士を演じていたりします。
その2年後に、この作品で義理の姉と弟を演じるのだから、映画って面白い。
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