蝶
水溜りで水を飲む蝶
これっぽっちの水分量が
彼女にとっては湖だった
その広さと豊かさを
確かに彼女は知っていた
ぼくは蝶にはなれなかった
ぼくは
水溜りを 残った水としか思えなんだ
湖を 水溜りとしか思えなんだ
そうしていつしか海を忘れた
そのくせ
今日も海を見たいと思うが
数多の蝶を仰ぎ見るばかり
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