復讐の散歩

四肢にまとわりつき 

身体を鈍重にする腕は 

おれの腕か

おれは 孤独を感じているのか


贅肉はもはや脳まで毒していた

妄想は 不甲斐ない自らを慰めるものでしかなかった

だが たったひとりの友でもあった

殺すしか なかった


歩く 歩いた 真っ直ぐ 真っ直ぐ


まず腕を ぼとりぼとりと落として行った

一所に留まれば 腕は容易に絡みつく が

歩く肢体に追い縋るほど 力がなかった

あまりの非力に おれは拍子抜けした


残るは贅肉だった

だが 簡単なことだった

歩けば 贅肉は汗と流れ出る

身体はどんどん清浄となる


身体の内が 

骨と臓物と最小限の肉になったとき

友を殺すは今だと悟った


おれによく似た喉仏に剃刀を当て

目を瞑り えいやと引いた

二三度眼を瞑り直すと

その間に死んでしまった


今は ただ静かである

戻りはしない 戻れもしない


歩く 歩いた 真っ直ぐ 真っ直ぐ

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