第126話 いくぜ! ももちゃんお色気作戦
"ももちゃんお色気作戦"がうまくいったのか外から確認する。オーク達は発狂しながら、外に出て行くと、オアシスからは一体もいなくなった。
今回桃乃に渡したのは、自動アイテム生成で作ったお手軽匂い袋だ。
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《魅惑の匂い袋》
効果 魔物を強制的にヒート状態にする匂いを放つ。ヒート状態になると子孫繁栄に取り憑かれて自我を失う。
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この匂い袋を使って、風属性魔法で方向性を持たせる。するとここのオアシスのみに匂いが届く仕組みだ。
前回オークに追われた時もこれに近い匂いが桃乃から出ていたのだろう。
材料はスカベンナーからもらった匂い袋と、桃乃の唾液から作成できたのだ。
「唾液をくれ!」って桃乃に言った時はめちゃくちゃ気持ち悪そうな顔をして引かれたが、しっかり説明したらなんとかもらうことができた。
本当はより遺伝子がしっかりしている
だから唾液にしたのだがそれでもダメージは強かった。
ちなみに消臭するのに使う消臭の匂い袋はラフレシアの種と自動アイテム生成することで作ることができた。
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《消臭の匂い袋》
効果 匂いが敏感なものを惑わす消臭袋。
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匂いをより強い匂いで消すという仕組みなんだろう。
今回はこの二つの匂い袋でオークをオアシスの外に誘い込み、その間にドワーフを救助することでクエストをクリアするという作戦だ。
あとは出てきたオークを挟み撃ちにして、そのまま狩ることができれば今後の食糧問題も改善されるだろう。
「じゃあ中に入りますよ!」
俺達はオークのオアシスに乗り込んだ。今回ドワーフには第一区画でゴブリンが使っていた剣を渡してある。
ボロボロだった剣はドワーフの手によって、綺麗に研ぐことで別のものになっていた。
持っていても装備ができない武器は俺には必要ない。
鑑定結果からも本当に別のものになっていたようだ。
中に入ると単独で行動することになっている。俺は奥のオアシスに向かって歩き、ドワーフは周辺の建物からドワーフを助け出すという作戦だ。
ひょっとしたら
その理由は集落は階級毎に分かれており、奥に行くほど建物が大きく、強いオークが多いからである。
俺達が外から見ていたやつらは、弱いオーク達になる。
近くにあった建物に入ると。だが、そこには誰もいなかった。どこか寝床のようになっている建物に、オークの人間さを感じる。
居住区と食堂を分けるのは知能が高い証拠だろう。
そのまま奥に進み、一番奥にある大きな建物に入ることにした。
扉を開けて俺は驚きが隠せなかった。
そこには鎖に縛られた女性達がいたのだ。
すぐに見た瞬間、この部屋がどういうところかすぐに理解した。
「大丈夫ですか?」
俺は彼女達に声をかけるが、意識が混濁しており反応がない。
全員が全裸で手を縛られており、股の間からは白い液が大量に流れている。
きっとこの部屋は子孫を残すためだけのために使われている部屋なんだろう。
中には手足が細くガリガリに痩せているのに、お腹だけがぽっこりと出ている人もいる。お腹の中にオークを孕っているからなのだろうか。
「おい、大丈夫か!」
俺は比較的体が汚れていない綺麗な女性の顔を叩く。
すると彼女は目を覚ました。
見た目も小さく中学生ぐらいに見えるのはドワーフの特徴だろうか。
「いや、もうやめて……もう産みたく――」
叫ぶように声を出すと彼女の口を急いで手で塞ぐ。まだオークが残っていたら、この声に気づく可能性がある。
これが人間とオークの序列が変わった結果だろう。
俺は彼女と目を合わせると、次第に彼女の焦点が合う。しっかりと認識できたようだ。
「大丈夫だ。今すぐ助けるから、小さな声で話せるか?」
俺の声に反応して小さく頷く。
手を離すと彼女はごくりと唾液を飲み込む。
「仲間のドワーフがいるから、すぐに入り口に向かって走って逃げて」
俺は鎖に向かって魔刀の鋸を振り下ろす。半信半疑ではあったが、仲間のドワーフがいるって言葉を信じたのだろう。
「あとみんなに一口ずつ飲ませてくれ」
「はい」
彼女に回復ポーションを渡す。
ドワーフ達を解放するとすぐに駆け寄り、回復ポーションを飲ませて説明していた。
回復ポーションの数が足りないため1人1本ないのが痛手だが、桃乃と合流ができれば回復魔法でどうにかなるだろう。
奥にはやけに綺麗な部屋が存在していた。
オークがいないことを確認すると、俺は勢いよく扉を開けていた。
「何だこれ……」
その部屋にはドワーフの女性が一人だけ寝かされている。他のドワーフとは違い手足全体に鎖がついて動けないようだ。
俺は服を脱ぐと彼女の体についた白い液体を必死に拭う。今までの女性とは違い、体全体に液体がこべりついていた。
「おい、大丈夫か!」
俺は彼女を叩いて起こそうとするが反応がなく、すでにぐったりとしていた。
他のドワーフと違い、海外の幼女に近い見た目をしている。容姿が綺麗なことが目の前の女性の運命を変えてしまったのだろう。
俺は口元を拭き、回復ポーションを流し入れるがどうやら飲み込めないようだ。
「ごめんな!」
俺は彼女に近づき下顎を引く。
そのまま指で舌を引っ張り出すと、回復ポーションの瓶を口の中に突っ込み顎を上にあげた。寝ている状態だと舌が下がり、舌根沈下のようになってしまう。
回復ポーションが飲み込めないと思った策だ。
ここはアニメとかだと口移しとかするシーンだろうが、俺は感染症とかが怖い。そういうのは無理だ。
口の中にもオークの体液とか何が入っているか分からない。
「ゴホッ!?」
急に回復ポーションが入った影響か、彼女はすぐに目を覚ます。
「おい、大丈夫――」
「いやあぁぁ!! 変態!!」
頑張って助けたのに俺は変態扱いになってしまったようだ。
ふと考えると今の服装からして、たしかに変態に感じるだろう。上裸の人が自分の上に覆い被さっているのだ。
それでも変態に間違われたのは許せない。
「誰が変態じゃあー!」
俺は鋸を大きく振り下ろす。
「あわわわ」
彼女は口を震わせて驚いている。
「ふぅ、早く逃げる……ぞ?」
どうやら彼女はそのまま気絶してしまったようだった。オークに酷いことをされたのを思い出したのだろう。
俺は彼女を抱きかかえて、建物から出ることにした。
いや、もう外に出ていたか……。
鎖を切るはずが、力の調節を間違えて建物ごと真っ二つに切っていた。
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