第102話 女性からの視線
あれから容器を返しに行った際に、おばさんに直接コロッケの隠し味を確認するとやはり
作り方を聞いたら材料を混ぜ合わせたところに、最後に練乳を少し入れることで美味しくなるらしい。
聞いてもいないのにおばさんは嬉しかったのか、作り方を一から説明し出した。すると俺の脳内では勝手に何回も作ったことあるような感覚とレシピが頭に浮かんでくる。
ひょっとしたら料理をしたことない俺でも、自分で作れるのかもしれないと思うほどだ。
流石にそれはないと思うが、今度の休みに桃乃に手伝ってもらえないかと、出勤した日に予定を確認することにした。
「あっ、おはようございます」
俺がそんなことを思いながら、仕事の準備をしていると桃乃が出勤してきた。
「昨日おばさんに聞いてみたけど、やっぱり練乳が入ってるって言ってたぞ」
「えっ!? 本当だったんですね」
「しかも、作り方を聞いたら俺でも作れそうな気がするんだよな」
「えっ……先輩ってたしか料理を
あの台所を見ただけでわかるとは……。
それにしても"全く"のところを強調して言ったのは、何か意図があるのだろうか。
「今度の休みの日に何かスキルの確認も含めて作ろうかと思ったんだが手伝ってくれないか?」
「いいですよ! あー、それなら妹も連れてきましょうか?」
桃乃の妹って言ったら以前ココアの散歩の時によく会った子だ。そういえば最近会っていない。
「先輩聞いてました?」
「あっ、ごめん。妹さんって最近ココアの散歩してないよな?」
「今大学4年生で卒業論文に追われているらしいですよ。それで話を戻しますが、
妹の名前は
あの時は彼女に目を奪われたが、桃乃の妹だと知ったらあまり近づけないと思っていた。
ふと、俺は桃乃が昨日オークを見ていた時の言葉が頭をよぎる。
"女性が生理的に受けつけない男性にストーカーされる気持ちってこんな感じなんですね"
花梨さんと会う前には床屋……いや、美容室に行っておくべきだろう。
「いや、俺の家に来たらまずいだろう」
流石に花梨さんも成人男性の家には行きたくはないだろう。しかも、姉の上司となると居心地が悪いはずだ。
「あー、確かに先輩の家だと庭に穴がありましたね」
「……」
俺はすっかり穴の存在を忘れていた。確かに桃乃が穴の存在を見えていたってなると、姉妹なら妹の花梨さんも見える可能性がある。
穴の存在を知らないおばさんが穴の存在を教えてくれるほどだから、何かがきっかけで見えるのだろう。
「先輩も忘れてましたよね?」
「あっ、いやそんなことはないぞ?」
「本当ですか? もう目が泳いでますよ?」
俺の顔をじっと見ていた桃乃にすぐにバレてしまった。現実世界でスキルを手に入れた桃乃は仕事のスキルよりも性格に変化が出てきてるようだ。
「だからお泊まりセット持ってきて家に来てくださいね?」
「ああ、わかった」
お泊まりセットを持って来て料理をするらしい。
いや、待てよ。なぜ、お泊りセットなんだ?
「いや、よくねーよ!」
桃乃からは舌打ちと小さく呟く声が聞こえた。あれだけ俺を拒否しながら、自然とセクハラに持ち込む気なのか。
本当に後々訴えられるかもしれない。それだけは気をつけておく必要がある。
さっきから他の女性達の視線も集まっており、いつのまにか注目の的になっていた。そんなにお泊り会がしたいのであれば、彼女達を誘えばいい。
「おい、お前ら二人で見つめ合ってないで仕事しろ!」
部長に注意され俺は仕事に戻ることにした。特に桃乃と見つめ合っていたわけではない。さっき目が少し泳いでいる時に見つめ合ったぐらいだ。
俺が仕事に戻ると、今度は女性達が桃乃の周りに集まっていた。
女子トークが始まると同時に、部長の真っ黒なオーラが湧き出てくる。
「おい、服部こっちこい!」
浮かれた空気を使った原因はお前だと注意されてしまった。どちらかといえば、俺より桃乃のほうが原因だろう。やはり理不尽な糞部長は嫌いだ。
週末までは愛しのココアに癒されることを考えて、仕事を頑張ることにした。
――――――――――――――――――――
【あとがき】
賢いヒロインコンテストに向けた作品です!
https://kakuyomu.jp/works/16817330655578843426
こちらも不定期更新になりますがよろしくお願いします(*´꒳`*)
この作品このまま更新しますので、安心してください!
ストック30話以上あるので……笑
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