第37話

『天罰』は覿てきめんだった。

 七色の光明の球体中枢にふくそうされた残党たちの肉体はそれぞれに合体しまたそれぞれにかいしながらかいぎやく的にかいてんしつづけやがてひとつの巨大なる肉塊となった。ミカエルがふたたびおっしゃる。のたまわく『肉には魂あり。魂にはけがれあり。なんじ等のけがれによりてなんじ等の復活の日の審判をまたれよ』と。ようにしてミカエル・ラファエル・ウリエル・ガブリエルの四大熾天使がしゆつこつとして消滅するとらいていの十字架も雲散霧消し巨大なる七色の光明の球体は『復活の日』残党たちによる肉塊のなかへとしゆうれんされていった。とおもうと巨大なる肉塊の内側から光明の爆発が発生した。残党たちのの肉体はこつぱいとなり鮮血のあめあられとともにアレッポ城とアレッポ城のかいわいにふりそそぐ。無論ハンナばあさんたちの搭乗する装甲車も残党たちの肉体と血潮でれん色にそまってゆく。『せき』のいちいちじゆうを目撃したハンナばあさんは蹈たたらをふむかたちで狂喜乱舞する。いわく「やったわ。神は邪悪なジブリール教徒たちをみなごろしにしてくださったわ。やはり神はりすと者を愛してくださっているのよ」と。歓天喜地するハンナばあさんとはたいしよてきに憂鬱うつぼつたるがんぼうになった歩兵たちはめいちようたる抑鬱症状を露呈しびくびくしんとうしていた。くだんの青年歩兵だけが冷徹に『すべて』をみとどけてつぶやいた。

「ジブリール教の神よ」と。

「われわれりすと者をお許しください」と。

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