第22話

 神の存在は科学的に証明できるのです。

 そこでわれわれが今回完成させた『システム』の非侵襲型端末をとうに装着すると『人為的にせきがおこせる』のではないかとおもわれるわけです。理窟はかんたんです。システムは脳内の神経伝達物質の発火つまり『マイクロチューブル』による『物語』に反応して各小型カメラで宇宙内の素粒子の相補性を観測します。量子力学的な観測は生物によるものだけでなく人工的なる記録媒体でも可能なことは二重スリット実験でぞんですよね。ようにして小型カメラをつうじて『魂』をつうじて世界を観測するに『魂が本統にかみがみをしんじているのならばかみがみは本統にあらわれる』とおもわれるのです。といえども『量子力学のはんちゆうで観測された相補性が宗教的なせきをおこすはずがない』とおもわれるかもしれません。そこで今回われわれが『松島のせき』で人類史上はじめて観測に成功したのがちらの画面にうつされている『新種の素粒子』であります。『新種』といえどもわれわれ研究所はあるていど予測をおこなっております。ひつきようこれこそが半径六五〇億光年の膜宇宙の八〇%を支配する『暗黒物質』ではないかとおもわれるのです。ここにおいて観測者は『暗黒エネルギー』を観測し『暗黒物質』へと量子論的に粒子化をおこなっているとかんがえれば不思議ではありません。われわれはこの素粒子を『神性素粒子』と名付けます――――」

 りゆうちようなる説明を完遂すると金城ひろはいった。

「ではここで『せき』を御覧いただきたい」と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る