　斯（か）様（よう）にして第二次世界聖戦は終局にいたった。

　曩（のう）時（じ）に独（ど）逸（いつ）神國と伊（い）太（た）利（り）亜（あ）神國が敗（はい）衄（じく）したのち唯一連合教国軍に叛（はん）逆（ぎやく）せんとしていた日本神國も敗戦し枢軸神國軍が全滅したことで一件落着『とはいかなかった』。そもそも綿（めん）邈（ばく）たる歴史上カトリック・プロテスタント・東方正教会など新興宗教も包（ほう）裹（か）すれば千状万態の系譜に分岐していた基（き）督（りすと）教（きよう）会はそれぞれに独自の『最後の審判』の伝承が信（しん）憑（ぴよう）されていた。然（さ）様（よう）なる状況において連合教国軍のなかで亜（あ）米（め）利（り）加（か）教国が独断的なる解釈で蒙（む）古（くり）高（こ）句（く）麗（り）の『最後の審判』を発動させたことにより無論英吉利（いぎりす）教国やソヴィエト教国を劈（へき）頭（とう）とする基（き）督（りすと）教（きよう）会各派閥は沈黙しているわけにはゆかなくなった。まず英吉利（いぎりす）教国が亜（あ）米（め）利（り）加（か）教国に宣戦布告し超（ちよう）弩（ど）級（きゆう）爆撃天使メタトロンおよびサンダルフォンで華（わ）盛（しん）頓（とん）D.C.への絨（じゆう）毯（たん）爆撃をおこなった。つづいて『天使たち』が亜（あ）米（め）利（り）加（か）教国と英吉利（いぎりす）教国に隴（ろう）断（だん）されている状態ゆえにソヴィエト教国は『瀆（とく）聖（せい）』をおかしてでも人類を鎮護する覚悟で堕天使長ルシファーおよび『七つの大罪』を象徴する七大魔王を華（わ）盛（しん）頓（とん）D.C.へと投入した。七大魔王には最後の審判で封印された大魔王サタンもふくまれたので奸（かん）佞（ねい）邪（じや）智（ち）のサタンの復活により最後の審判の計画も反（ほ）故（ご）にできるのではないかと考（こう）覈（かく）したのである。ほかにも北欧諸国は邃（すい）古（こ）希（ぎ）臘（りしや）神話の神（かみ）神（がみ）との魂（こん）魄（ぱく）接続を遂行して爆撃神ゼウスや北欧神話における雷（らい）霆（てい）の神トールなどの神（かみ）神（がみ）を投入し印（いん）度（ど）はヒンドゥー教神話における破壊神シヴァや矢（や）張（は）り雷（らい）霆（てい）の神インドラなどを投入したのち宇宙神ブラフマーを投入して世界の法則までみだしていった。斯（か）様（よう）にして三位一体の唯一神ヤハウェと聖霊エロヒムおよび基（き）督（りすと）たちに対（たい）峙（じ）する世界各国の神聖冒（ぼう）瀆（とく）すべからざる神（かみ）神（がみ）との『最終決戦』が遂行された。魔王たちはエロヒムと闘（とう）諍（じよう）し爆撃神たちは残存した天使部隊を殲（せん）滅（めつ）した。破壊神は唯一神と一騎打ちをし宇宙神は泡宇宙をビッグクランチさせてサイクル宇宙を誕生させんとした。非力だった。創造主であり全知全能である神のまえであらゆる神（かみ）神（がみ）が肉塊となりあらゆる操縦者が斃（へい）仆（ふ）していった。白銀の玉座に鎮座する基（き）督（りすと）は宣告した。『邪宗の神（かみ）神（がみ）よ。邪宗の神（かみ）神（がみ）を信（しん）憑（ぴよう）するものたちよ。爾（なんじ）等の邪心は神の御（み）心（こころ）に背かれた。爾（なんじ）等をすべてこの窮極集合よりデコヒーレンスせしめるところである』と。廼（ない）時（じ）に世界中の神話における神（かみ）神（がみ）や天使や魔王たちの肉体は五（ご）臓（ぞう）六（ろつ）腑（ぷ）が巨大化して複雑怪奇なる肉塊となり三次元ディラック方程式の解となって消滅していった。斯（か）様（よう）にして神（かみ）神（がみ）は死んだ。