第40話

 二柱の神はにらみあった。

 黄たそがれのなかでたがいを凝視していた。

 相手は『全知全能』の神だ。刹那にして宇宙をこつぱいにすることさえできるであろう。りゆう大明神を操縦する全日本人はこくそくうつぼつたるところがあったが最後には勇気をふりしぼった。『神には神を』と。『力には力を』と。『霊威には霊威を』と。巨大なるひやくがいきゆうきようけいれんさせてふりみだしたりゆう大明神は九個のとうで一斉に唯一神ヤハウェを攻撃した。すい色のとうは刃状のふうをまきおこした。瑠璃色のとうは圧倒的なる洪水のたいふうをまきおこした。きや色のとうはいきよの大地をげきとうさせた。紫菀色のとうなる霊気で唯一神をがんがらめにした。のう色のとうえんいつたる火炎を唯一神の肉体にまとわりつかせた。どういろとうはいきよの大地から樹木を生長させ唯一神の肉体をしめつけた。べつこう色のとうは巨万の銃弾を発射しこんいろとうは白銀のレーザーをだして唯一神のひやくがいきゆうきようじんにせんとした。『とどめ』に黄金色のとうが唯一神のあしもとの原子群を核分裂させ宿敵をちり一つのこさぬように攻撃した。一瞬全日本国民は混乱した。「痛い」「苦しい」「死にそうだ」――。『総攻撃を甘受したのは唯一神であるはずなのにいま断末魔となっているのはりゆう大明神』なのである。全日本人のこんぱくほうはくたる精神世界にてまんしんそうとなりながらしゆ現状を理解せんとした。『力』だ。

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