第26話

 金城しのぶは沈黙した。

 義母に見守られながら充分に落涙した。

 きようあいなる居間では聖戦勃発より爆撃天使による空襲の警報にそなえあいまいとしたこえをながしつづけてきたラジオ放送局型123号受信機がひやくまん『君が代』の吹奏楽をりゆうりようめかせていた。最後の『君が代』がしんいんひようびようとしてしゆうえんをむかえる。金城しのぶはしばらくめいもくする。ついにやってきたんだ。わたしは死ぬんだ。いや。日本が死ぬんんだ。祖母がかんとして「やってきたね」という。しのぶはとうしなれながらなおもしゆこうする。ラジオの『雑音』が一旦途切れまた雑音がはさまれる。ようにして『最後のニュース』がはじまる。『ワレラガ善良ナル国民諸賢ニ告グ ワレワレ『大日本神國』ハ 今朝七時ヨリ『こんぱく接続』ヲモチヒテ 神州日本列島ソノモノニオハス『りゆう大明神』ヲ操縦シ 敵国教国ヘト『総特攻』ヲナストコロナリ コレニオヨビ ワレラガ善良ナル国民諸賢ハのうヨリノ訓練ドホリ 今朝七時零分ヲモチテ つつが無ク『りゆう大明神』トノこんぱく接続ヲナシテ 神州日本ガタメノ 神聖ぼうとくスベカラザル『人柱』トナラムコトヲノゾム ワレラガ善良ナル国民諸賢ハ こうスルコトナク コノ至上命令ヲ遂行シ 日本神國ニらいえいごうノ栄光ヲバ冠セシメルコトヲノゾムトコロナリ クリカヘス ワレワレ『大日本神國』ハ 今朝七時ヨリ『こんぱく接続』ヲモチヒテ 神州日本列島ソノモノニオハス『りゆう大明神』ヲ操縦シ――』

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