　この『全知の人間』ハルトマンによる『無意識の哲学』に人類は感動しました。斯（か）様（よう）にして計画は発（はつ）軔（じん）したのです。まず『全知の人間』ハルトマンは『そもそも有機物は負のエントロピーを喰（く）らい正のエントロピーを排（はい）泄（せつ）することで生存している。つまり有機物がサイクルする機構を人工的および継続的に再現できればすべての宇宙は開（かい）闢（びやく）爾（じ）時（じ）まで歴史を遡及できる』と標（ひよう）榜（ぼう）しました。つまり斯（か）様（よう）な機関を起動させれば『無限回輪（りん）廻（ね）転生してきた窮極集合を最終的に一本の超紐へと還元したうえで殲（せん）滅（めつ）させられる』とのことでした。つづいてこの宇宙の人類は『ほかの膜宇宙の人類』の同意を獲得するために膜宇宙間の連絡をこころみます。いまだに膜宇宙間の往還ができなかったこの宇宙の人類は膜宇宙間を移動できる重力子をもってモールス信号をおくるという原始的なる手法で窮極集合内の情報交換を遂行しました。蕞（さい）爾（じ）たる重力子による連絡は成功し『全窮極集合の伎（ぎ）倆（りよう）を輻（ふく）輳（そう）させればハルトマンのいうとおおりに宇宙内のエントロピーを逓減させる機関を完成できる』ことを闡（せん）明（めい）したのです。