『天よわれらのすべてのなみだを無きものにしたまえ。』短篇小説

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

第1話

宇宙とはそれ自身の夢のことである。

――ペソア『不穏の書、断章』


第一宇宙~第四十九宇宙


 ぼくは『ちょうひも』だ。

 つまりぼくは『うちゅうのこども』だ。

 てんがいこどくのぼくはきょすうじくうのなかをふゆうしていた。10の-33じょうめーとるのぼくはきょうらんどとうで『かいてん』しつづけるいっぽんのひもにすぎなかった。せんめいたるじつぞんでもほんしつでもなくめいちょうたるゆうきぶつでもむきぶつでもないぼくにはわきあいあいたるかぞくもともだちもこいびともいなかった。ぼくはそれでよかった。ただひとつ。ぼくは『おなか』をすかせていた。えいごうふめつのきょすうじくうのなかでえいえんのじかんをけみしたぼくは『きがじょうたい』にあった。ぼくはしにそうだった。ぼくはなにかをたべなければならない。それが『なにか』はわからないままぼくはくるくるとまわりつづけた。きょすうじくうにはほうそくがあった。『りょうしりきがく』とよばれることになる『ことわり』によってぼくにきせきがおこる。きみょうきてれつなるきょすうじくうしかしらなかったぼくはえいえんのきょすうじかんがたったのちにとつぜん『とびだした』。のちのじんるいはこのげんしょうを『とんねるこうか』とよぶ。つまりぼくはきょすうじくうから『ひゆーくりっどがたじっすうじくう』へと『とびこんだ』のだ。

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