『ヘヴィノベル宣言』
愚生の小説は、
よく難読だといわれた。
おおくの方方には共感されたが、
ひるがえって、
おなじくらいの方方から、
さんざん『読みにくい』といわれた。
愚生はおもった。
この『読みにくさ』は。
ヘヴィメタルの『聴きにくさ』に類似していないかと。
B'zやマルムスティーンで育ち
パガニーニの協奏曲の超絶技巧に感動し
聖飢魔IIを愛聴するなかで
愚生はヘビメタ文学なるものを着想した。
無論、愚生はライトノベルを厭悪するわけではない。
愚生もだいすきなライトノベルは何冊もある。
が、あえて愚生は
『逆ライトノベル』『逆ラノベ』となる
『ヘヴィノベル』『ヘビーノベル』『ヘヴィノベ』の誕生を宣言する。
むずかしいことじゃない。
ヘヴィノベルとは
ただ日本語の画数を競うだけの戯れだ。
画数のおおい漢字は
ドラムの乱打であり
ギターやベースの速弾きであり
ヴォーカルの高音の高周波である。
辞書なんて引かなくていい。
漢字を漢字(かんじ)ろ。
物語なんてどうでもいい。
物語のために漢字があるのではなく
漢字のために物語があるのだ。
さあ、読者諸賢よ。
貴殿も奇妙奇天烈にして蠱惑的なる
ヘヴィノベルの世界に彷徨いこむのだ。
覚悟せよ。
――参考に、
既存の日本文學のなかから、
愚生の尊敬する、
ヘヴィノベルの源泉ともいえる作品を臚列しておく。
『古事記』
『平家物語』
『太平記』
『金色夜叉』尾崎紅葉
『五重塔』幸田露伴
『草枕』夏目漱石
『滝口入道』高山樗牛
「山月記」「名人伝」「弟子」「李陵」中島敦
『日蝕』『一月物語』平野啓一郎
『豊穣なる語彙世界』工藤行人
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